「日高屋」や「焼鳥日高」を運営するハイデイ日高(東京都/高橋均社長)は、2018年7月に新しい屋号の業態「大衆酒場HIDAKA」を開業した。25日に1号店の南銀座店(埼玉県さいたま市)、30日に2号店の浅草橋駅前店(東京都台東区)を出店している。
その特徴は“ちょい呑み”だ。「私は15年ほど前から“ちょい呑み”の可能性に目をつけてきた。だから『日高屋』でも120円の多くのメニューを開発し、現在は約25種類のつまみを揃えて、需要に応えている」(高橋社長)。
高橋社長によれば、客単価は約1300円だ。ところが、「駅前立地で千円程度で呑める店は圧倒的に少ない」のだという。
だから「便利な駅前でカウンター席やテーブル席で、独りでもグループでも安くて気楽に、豊富なドリンクメニューから選べてちょっと呑めて、食べて楽しめる潜在需要は大きい」と踏んでいる。
今後、乗降客数5万人程度のターミナル駅前に出店。コストモデルは、月家賃70~80万円で月売上高650万円というものになる。
この「大衆酒場HIDAKA」を開発した理由は、1つに現在の同社の成長エンジンである「日高屋」(382店舗)、「焼鳥日高」(23店舗)に代わる第3の業態の確立にある。
「営業利益率は『日高屋』が約20%、『焼鳥日高』が約18%であり、なかなかのものという自負がある。ただ、この2業態が好調なうちに次の成長の種まきをしなければいけない」(高橋社長)。
もうひとつの理由は、自社によるカニバリ(共食い)の回避だ。「『日高屋』は直営店の95%が駅前繁華街に立地している。近隣に不動産物件が出た場合、他社に進出させぬように防衛的出店をするのだが、その選択肢の1つする」という意味合いだ。
さらには、ライバル企業の動きも目に入る。吉野家の「吉呑み」は言うに及ばず、うどんチェーン「丸亀製麺」などを傘下に抱えるトリドールホールディングス(東京都/粟田貴也社長)は、居酒屋「晩杯屋」【ばんぱいや】を展開するアクティブソースを買収しグループ化している。
「ちょい呑み」の先駆役ともいうべき「日高屋」が傍観しているわけにはいかないのだろう。
高橋社長は、「まだ大成功とは言えないがこれから育てていきたい」と抱負を語るとともに、さらなる新業態として「ちゃんぽん」専門店の開発にも力を注ぐ。
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