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ライフコーポレーション 第5次中期3カ年計画発表会録(前篇)

 2015年5月13日にライフコーポレーション(大阪府/岩崎高治社長:以下、ライフ)は、第5次中期経営計画発表会を開催した(@ライフコーポレーション大阪本社)。2回にわたって岩崎社長による説明会の模様を抄録する(談:文責・千田直哉)。

 

 お陰様で2015年2月期の決算を締めてみれば、11期連続で増収を達成することができた。店舗数は首都圏に107店舗、近畿圏に141店舗、合計248店舗を展開するに至った。

 

 連結の売上高は5687億円。既存店舗は対前期比4.3%増。対前年度比で約500億円の上乗せが果たせた。そう考えると、実施後の労力が膨大なM&A(合併・買収)より、自力による成長の方が良いと思う。

 前期において、注目しておきたいのは、既存店舗のお客さまの数についてだ。

 第一四半期(1Q)は対前期比1.2%増、2Qが同1.9%増、3Qが同3.4%増、4Qが同4.0%増と尻上がりで伸びてきており、手ごたえを感じている。

 経常利益も同43%増の110億円を計上することができた。

 

 周知の通り、前期は上方修正を3度実施しているので、ライフの業績が突出して好調だった印象を与えているが、私は、「長いレンジで見れば、元に戻っただけ」と考えている。

 当社は、毎年増収増益を求めているわけではなく多少デコボコは寛容している。

 

 しかし冷静に数字を眺めてみれば、上高5687億円に対して経常利益110億円。つまり売上高経常利益率は2%に過ぎない。この数字は、業界内の優良企業との比較で言えば、見劣りは否めないので安穏としていられるわけではない。もっと上を目指して、日々の業務に当たりたい。

 

 さて、ライフは、初めて全社一丸となって策定した第2次中期経営計画で15の改革(スクラップ&ビルド、店舗、売場、商品、ロス、作業、物流、情報、販促、店舗マネジメント、組織と人員、人事と教育、CS、コスト、財務)を実施し成功をおさめた。

 

 しかし、第3次中期経営計画は、第2次の単なる焼き直し。続く第4次中期経営計画は、10年ビジョン「NEXT10」の中で策定し、「400店舗、売上高8000億円、経常利益200億円」という大目標が先行したがゆえに、具体的なアクションプランへの落とし込みが悪かったと反省している。

 

 そのことを踏まえ、2016年2月期~2018年2月期までの第5次中期経営計画を策定した。

 

 その説明の前に、外部環境に関するライフの認識と内部の課題について触れておきたい。

 

 まず、外部環境変化のひとつめは、食品スーパーの売上と密接に連動する「現金給与総額」についてである。アベノミクス効果、日銀の量的緩和や政府の後押しによる賃上げ、好景気人員不足に起因するパート時給のアップなど個人消費にとってはプラスになっていると認識している。

 消費増税はあったものの「現金給与総額」は上がっている。2008年以降、ずっと下がっていたが、東京都は2013年、2014年の2年にわたってプラス。大阪府も2014年はプラスに転じており、2015年も継続するものと予想される。

 

 少子高齢化と人口減少は、日本全体の問題として取りざたされているけれども、ライフが店舗を展開する首都圏では過去8年間で人口は増加。近畿圏では、ライフが店舗展開している2府2県でみると同99.6%なのだが、たとえば大阪市の24区中11区など伸びているエリアもある。

 ライフが積極的に出店していこうとするエリアはまだまだ成長の余地がある。

 

 3つめは流通再編についてだ。

 日本の食品小売業の寡占度をみると、市場規模は44兆6000億円、上位5社のシェアは36.1%だ。寡占化が進む英国の場合は、それぞれ26兆9000億円、76%になっている。

 同じ島国であるにもかかわらず、日英の寡占度に大きな隔たりがある要因としては、次の5つが考えられる。

 

 ① 大規模小売店舗法による規制 中小企業の保護

 ② 品質や鮮度に敏感な国民性

 ③ 海外に比べ買物頻度が高い

 ④ 地方ごとに食文化が違う

 ⑤ 卸売業者の存在と対応

 

 ここから将来を展望すると、企業体力の問題や後継者の問題もあるので、今以上にグループ化や系列化は進むだろう。

 しかし、イオングループさんとセブン&アイグループさんのビッグ2で80%を占めることには絶対にならないと考える。また、ファミリーマートさんとユニーさんの経営統合のように第3極が名乗りを上げる可能性は大きい。しかし、それにしてもいきなりシェア20%を獲得することは難しいだろう。

 食品スーパー業界ではエリアごとに地域に密着した企業が絶対に1社は生き残ることができると確信している。ライフは、必ずその1社になる。

 

 そしてもう1つの外部環境としては、世帯年収の推移が挙げられる。

 1980年には、800万円以上は7%、400万円以上800万円未満は85%、400万円未満は8%とまさに1億総中流と称することが適当だったが、2014年ではそれぞれ20%、34%、46%となっている。

 そうなると、価格対応はもちろんのこと、高付加価値や1人10色といったニーズにも対応していく必要がある。

 

 次に内部の課題は大きく2つある。

 

 ひとつは、1キロ圏内のシェアだ。

 ライフは売上の80%が店舗から半径1キロ圏内に居住する方々に支えられている。もっとも高い店舗では1キロ内の売上が96%だ。

 そこで兵庫県の甲子園店を見てみると、半径1キロ内には約3万世帯が居住。1世帯の消費支出は月4万円で試算すると、1か月では12億円、12か月では144億円のマーケットが広がっている。しかし、甲子園店の売上は14.4億円と10%のシェアを握るに過ぎない。

 なぜ、10%なのかを電通さんにアンケート調査を実施してもらうと、さまざまな点で競合企業に見劣りしていることが判明した。

 もっとお客さまにいらしていただくには、地域密着を徹底し、足元のマーケットを深掘りする必要があると痛感した次第だ。

 

 2つには、先日視察した米国小売業だ。

 ウェグマンズやホールフーズにお客さまが溢れかえっているのと比較してセーフウエイやフードライオンは閑散としていた。後者の2社の商品や価格、クレンリネスは前者と遜色なかった。

 では、何が違っているのかと言えば、私はお客さまと小売業との近しい関係性の構築にあると感じた。お客さまの声をこれまで以上に聞き、お客さまにいかに近づくか?

 これがないと今後、日本の小売業も生き残っていけない。

 

 これを第5次中期経営計画に活かしたいという思いを新たにした。

 

 後篇に続く。