関西スーパーマーケット(兵庫県/井上保社長:以下、関西スーパー)の広報誌を制作している部署から電話が入った。
「『チェーンストアエイジ』誌2014年7月15日号に掲載されている安土敏先生の『スーパーマーケット物語』第36回・第9章をそのまま小社広報誌に転載させてほしい」との依頼だった。
関西スーパーと創業者である故北野裕次さんの功績を「食品スーパー史」の観点から改めて評価、紹介するという内容だ。
著作権は著者にあるので、早速その旨を安土先生に連絡したところ、2つ返事でご快諾いただいた。以下は、安土先生からいただいたメールの文面である。
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関西スーパー様からの転載依頼、大変光栄です。
もちろん、喜んで同意いたします。
社内報の編集の方に、よろしくお伝えください。
最近、関西スーパーさんの若い方(と言っても、私の目から見ての話です)にお会いして、昔話をすると、「えっ!」と驚いておられます。
《あの関西スーパー》の素晴らしさや貢献度合いが、今の時代の人たちに、十分には伝わっていないのかも知れません。とても残念なことです。
《今日の日本のスーパーマーケットを作った元祖は関西スーパーだ》ということをお伝えください。
繰り返し書くように関西スーパーがなければ、サミットストアも、私自身の今日もないので、流通業界には、そういう人がたくさんいるはずです。
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この内容に大変感激した。
関西スーパーは昭和34年の創業だから55年の歴史。サミット(東京都/田尻一社長)は、その4年後に前身の京浜商会を設立おり歴史は51年――。
日本史や世界史のレンジと比較してみれば、わずかな時間に過ぎないのだが、沿革や功績は、社に勤務する従業員にさえ、ちゃんと伝わってはいない。
このようにややもすると、私たちは過去を忘れ、軽視しがちになる。
私が携わっている雑誌にしても、現在から未来にかけての前がかりな報道になりがちだ。
だが過去が疎んじられるようになると、歴史や実績を捻じ曲げる輩や過去の功績者を誹謗中傷する輩が続々と登場し、真実はうやむやになる危険性がある。
そんな事態を回避し、事実や歴史をしっかり刻む――。
私の仕事の役割のひとつとして肝に銘じたい。