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テスコネットスーパー 新たな試み

 英テスコのネットスーパーの新しい試みに関する原稿(『チェーンストアエイジ』誌2014年5月15日号 P70~71)を読み、いたく感激した。筆者は、『テスコの経営哲学を10の言葉で語る』(訳書:ダイヤモンド社刊)の近著を持つ矢矧晴彦さん(デロイトトーマツ コンサルティング パートナー)。

 

 ネットで注文した商品を、地下鉄駅前の駐車場に停めているテスコの配送トラックで受け取ることができるという取り組みだ。

 

 テスコが「クリック&コレクト」(商品の発注と精算はネット。受け取りは店舗)のひとつの手法として実験しているものだ。

 

 では、この取り組みのどこに感激したのかといえば、ひとつに仕事帰りの疲れた身体に鞭打って買い物(ショッピング)をしなくて済むということ。2つにお客は、店舗に立ち寄ることなく、必ず通る駅前で商品を受け取れること。3つに自宅で配送業者の到着を待っていなくてすむこと。4つには(ネットスーパーとすれば当たり前のことだが)暇な時間に商品を発注することができるということだ。

 いずれの場合も、お客は有限である時間を有効に活用することができる。

 まさに「Time is money」(時は金なり)。

 

 一方、小売業の立場では、個配する必要がなくなり、少なからず、コストダウンにつながるだろう。

 

 今回の取り組みの成否はいまのところわからない。けれども、「目からウロコ」であり、「コロンブスのタマゴ」であることは間違いない。

 一見、誰でも思いつきそうな発想だが、ふつうに生活し、買い物をしていないとなかなか出てこないものだ。

 

 さて、このBLOGでは以前、「ふつうに暮らすから新しい需要が見える」と経営コンサルタントくらたまなぶさんの著作を紹介した。

http://diamond-rm.net/articles/-/3502

 

 ただ、日本の流通マンは、忙しさにまかせて、会社と自宅を往復に終始してしまいがちで、買い物は配偶者まかせになりがちだ。

 

 今日、小売業の重視すべきテーマは「立地(location)」から「消費者(customer)」へと変わっている。

 消費者を理解できなければ、かゆいところもわからない。

  しかも、ネットスーパーは完成したものではなく、まだまだ過渡期的な業態だ。

 ということは「シニア」「ニューファミリー」「女性」「単身」「サラリーマン」…。それぞれのふつうの暮らしを知り、それらの利便性を徹底的に追求してみることも大事だろう。