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食品スーパー分化論②

 昨日の続きです。 

 

 いまや、製造業も卸売業も小売業も、実際に消費者がどのような商品を欲しているのかつかみあぐねていると言われる。

 それというのも、米のレギュラー(普通の)食品スーパー(SM)では4万~5万SKUもの商品が導入されているからだ。1950年代の平均的なSMは5000SKUしか扱っていなかったので、その数は8~10倍。しかし、米の消費者は100SKU程度しか認知していない。店舗に導入されている商品のうち消費者はわずか0.2%しか知らないのが実情だ。

 にもかかわらず、昨年は2万2000SKUの新商品が市場に登場した。

 

 コーネル大学の調査では新商品の登場数は過去20年間にわたって上がり続けている。その結果、ほぼ90%の既存商品が置いてあるだけで、ほとんど回転していないのである。

 

 SM企業は消費者にいかに近づくべきなのか?

 その取り組みのひとつがFSP(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)の導入である。FSPは航空会社のマイレージカードと同様にその店舗でどれだけ商品購入したかでポイントを積み上げるシステムだ。

 

 いまのSM業界は自社の顧客の3分の1はFSPによって獲得していると言われる。

 しかも店舗の3分の2の売上は、この3分の1の高頻度利用顧客によって生み出される。

 消費者はFSPに加入すれば、さまざまなアドバンテージを享受できる。店舗では消費者がどんな買い物をしているのかを把握することでカスタマーのデータベースを整備することができる。両者にとってメリットがあるわけだ。

 

 ウィスコンシン州の「ディックス」では、リレーションシップ・マーケティングを実施した。ディックスは高頻度来店顧客から、自社をよく利用する消費者の「来店時期・頻度、購入商品」などといった情報を蓄えている。

 ディックスでは、そのデータをもとに消費者1人ひとりのショッピングリストを作成、毎週金曜日に本人必着で「(今週の)あなたの買い物リスト」を送付する。

 たとえば、1ヶ月に1回、歯磨き粉を買う顧客には次の購入時期が近づいたことを教えてくれる。その際にはメーカーからの協賛金でクーポンが同封される。これにより、ディックスでは30%の顧客の買い物行動を変えることができたという。

 

 さらに消費者サイドにアプローチをすべく、米SMの中には“デイ・パート・マーケティング”を進めている企業もある。朝・昼・晩ごとの消費者ニーズの変化にきめ細かに対応、商品展開を変えるというものだ。

 売場面積2000㎡の次期戦略フォーマット「ミール・マックス」のレイアウト図からは朝食・昼食・夕食ごとに売り場が明確に区分されている様子がわかる。同店のコンセプトは、「すぐ食べられる食品の提供」。SMの目指すべきフォーマットのひとつとして注目が集まる。

 

 こうした各種の動きは消費者が何を求めているかを把握して対応することの重要性を示唆している。

 そして、このような動きがさらに進めば、バーチャルストア(仮想のフードストア)を開業して、インターネットでショッピングする可能性も考えられる。

 かつて、米国の食品流通業界では「立地がすべてを決める」という大原則があったが、ここまでくれば、立地至上主義は幻想であったと言わざるを得ない。

 バーチャルストアにおいて、消費者は在宅のままで何でも購入できる。品切れも起こらない。ということは将来的には来店する価値のない店舗は淘汰の道を辿ることになる。

 これを単なる絵空事と笑い飛ばしてはいられないだろう。

 たとえば、15年前にウォルマートが米食品業界の売上の10%を獲得する企業になると誰も予想できなかったようにさまざまなことが起こり得る時代なのである。

 

 明日に続く。