2000年代中盤以降のファーストリテイリング(山口県/柳井正社長)の基本戦略の1つはM&A(合併・買収)である。ナショナルスタンダード、ワンゾーン、ネルソンフィナンス(ブランド名:コントワー・デ・コトニエ)、アスペジ・ジャパン、プティ・ヴィクル(同プリンセス タム・タム)、キャビン、ビューカンパニー、リンク・インターナショナル(同セオリー)。
そして米『ウォールストリートジャーナル』紙の報道によれば、同社は現在、米ファッションメーカーのJ.クルーとの合併交渉に入っているという。J.クルーは、GAPの中興の祖であるミラード・ドレクスラーという稀代の経営者の手腕でV字回復を果たした企業。その動向はドレクスラーの去就も含めて、注目の的だ。
ただ、これまでの同社のM&Aの成績は、現存する企業を「勝ち」、撤退した企業を「負け」、統合した企業を「分け」とカウントすると、3勝2敗3分。サントリーホールディングス(大阪府/佐治信忠社長)が米酒類大手のビームを買収したように優良企業による優良企業のM&Aは、ポートフォリオ的に有効に作用するに違いない。しかし、相乗効果を発揮するまでには、相当高いハードルが待っている、ことも事実である。
『チェーンストアエイジ』誌2014年3月15日号