公職選挙法第147条の2では、あいさつ状の禁止が記されている。
「候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む)は、当該選挙区(選挙区がないときは選挙の行われる区域)内にある者に対し、答礼のための自筆によるものを除き、年賀状、寒中見舞状、暑中・残暑見舞状その他これらに類するあいさつ状(電報その他これに類するものを含む)を出してはならない」(出所:「選挙ナビ」)というものだ。
http://senkyo-navi.net/3/39/000617.html
当該選挙区内へのあいさつ状が違反になる、ということは、衆議院比例代表制東海ブロックの場合は、対象が岐阜県、静岡県、愛知県、三重県内。参議院選挙の比例代表制の場合は日本全国。答礼のための自筆のあいさつ状以外は、親族、親戚、友人、知人を含む誰にも出してはいけないということになる。
なぜ、あいさつ状が禁止されているのかといえば、保有資産の多寡によって、候補者に有利・不利が生じてはならないからだ。
資産家の場合は、カネの力にものを言わせて、選挙区内の全員にあいさつ状を出しまくり、知名度アップと人気取りに乗り出すかもしれない。逆にカネのない候補はそれができない。
その差をなくし、「候補者の平等」化を図ろうということだ。
公職選挙法第147条の2の運用は厳しく、今でも時々、違反、逮捕者が出たと報道されることがある。
そして、「候補者の平等」化が禁止の意図であるとするならば、候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む)のTVやラジオ、雑誌などへの出演にも平等性が欲しい。
とくに議員のバラエティ番組や情報番組への出演は不平等そのものだ。
一部の与党議員や元タレントや元スポーツ選手上がりの議員などマスメディアとのコネクションがあったり、視聴率・聴取率・部数が獲得できそうな人ばかりに声がかかっているからだ。
しかも、その番組や記事の中身といえば、政治や政策に関係なく、議員が自らの人間性やキャラクターを売り込んでいることが多い。突き詰めれば、議員自身の広告の場になっていると言っていい。
議員のメディアへの露出は、知名度アップと人気取りということでは、あいさつ状よりも圧倒的に有効だ。視聴率20%超えの人気番組に出演しようものなら、その効果は計り知れない。
あいさつ状が禁止なら、同じ理由で、メディアへの議員の出演はやめさせるべきだろう。