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まだまだ伸びる

『長生きしたけりゃ ふくらはぎをもみなさい』(槙孝子〈著〉、鬼木豊〈監修〉:アスコム社刊)が売れているという。

 2013年6月27日の発売以来、4ヶ月間で23万部を突破した。

 アマゾン・ドットコムの11月1日現在のベストセラー 商品ランキング:本でも247位につけている。

 

 販売好調の要因は、ふくらはぎマッサージの効果を高血圧や糖尿病、冷え症、足・腰の痛み、ダイエット、不眠など20以上の事例で説明していることにある、と同社は分析している。

「がん」や「高血圧」「痛風」「腰痛」など、特定の病気に焦点を当てた本であれば、最大でも3万~5万部がいいところ、というのが出版業界の見方。しかし、ひとつの症状(=マーケット)に絞らず、汎用性の高い多症状(=マルチマーケット)を対象にしたことが支持を集めたようだ。

 

 このヒット事例から思い出したのは、GE(ゼネラル・エレクトリック)の元CEO(最高経営責任者)ジャック・ウェルチの「現在のシェアが10%になるよう、市場を再定義せよ」という言葉だ。

「この世の中に成熟市場などない。ある業界内で高いシェアを持つ企業は、自分で業界の定義をあえて変えて、シェアを低くしてみる必要がある」という意味になる。

 

 たとえば、3兆5084億円を売り上げ、コンビニエンスストア業界では40%弱と圧倒的なシェアを誇るセブン‐イレブン・ジャパン(東京都/井阪隆一社長)も小売業界の中では3%のシェアに過ぎないし、「世界の小売業界」という視点で見れば、1%にも満たない。

「日本のコンビニエンスストア市場」は成熟に向かうかもしれないが、同社が成長できる可能性は限りなく存在するということだ。

 

 ダントツのシェアを握っているようなコンテンツや企業であっても、見方を変えれば、まだまだ伸びる余地があり、やり方次第では、既存の定義や常識を超え、大ヒットを生む可能性がある。