私ごとの話だが、加工食品や非食品など、コモディティの買い物は、S社で済ませるようになって久しい。理由は、私の家から一番近いからであり、一番安いであろうと思われるからだ。
「一番近い」ということは、物理的な話なので疑いの余地のない事実だ。
しかし、「一番安い」かどうかは、細かく検証したわけではない。あくまでも、経験上の話に過ぎず、実のところはよく分からない。
商圏内のライバル企業が大セールを打ち、目玉商品をガンガン売っていたならば、あるいは相対的には高い買い物をさせられているかもしれない。
しかし、それでもいいと割り切っている。
「EDLP(エブリデー・ロー・プライス:毎日低価格)は信頼関係だ」と喝破した経営者がいたけれども、そのとおりだと思う。
信頼しているからコモディティの買い物はすべてS社で済ませているのだ。信頼するまでには相当長い時間がかかったものだが、もう関係が構築されているから、よほどの酷い仕打ちを受けない限り、きっとS社に通い続けるのだろう。
そう考えると、EDLPとは、お客の心の中にまで入り込んでいる分、実に強力であり、競合企業にとっては、なかなかに恐ろしい武器だということが分かる。