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企画力、実行力、継続力

 新規事業を成功させるために必要な力とは何であろうか?

 

 私は、①企画力、②実行力、③継続力の3つであると思う。

 

 まず、何といっても①企画力は重要だ。

 着眼点の良さが事業成功の大半を担っていると言っても過言ではないからだ。ただし、奇抜で斬新なアイデアは、社内では、いつも格好の批判の的になる。

 しかし、そんなことにへこたれずに、次々と魚影が濃そうな場所に対して他人が思いつかないような新奇な発想を出し続ける――。

 例えば、30坪のコンビニエンスストアで弁当やサンドイッチを徹底的に売る、という発想は、当初は《大馬鹿者》と揶揄されたかもしれない。

 だが、どんなビジネスモデルも思いつかないことには始まらないのである。

 

 2つ目は、②実行力だ。

 どんなに良いアイデアであっても、具体的に計画して、スタートさせないことには画に書いた餅でしかない。アイデアはたくさん出るけれども、すべてお蔵入り、などという組織は意外と少なくない。決定までに2桁以上のハンコを必要とするような大企業には実行力はないと言っていいだろう。

 例えば、「インターネットを使って音楽をデータで配信しよう」というアイデアを出した人の数は、業界内外含めて、相当たくさんいたに違いない。

 ところが周知のように、その中で成功したのはアップルコンピュータである。既存の音楽業界とまったくしがらみがなかったから、と成功要因について後付け解説することは簡単だ。

 しかしアップルと同業他社との違いは、それほど大きなものはないと私は思う。

 極論すれば、実行力があったかどうかだけなのである。

 

 そして最後は③継続力だ。

 これは“粘り”と換言してもいいだろう。良いアイデアを具体的なビジネスとして立ち上げたものの、なかなか軌道に乗らないために、道半ばで撤退を決める企業は多い。

 それはあるところ正しいことであり、即時撤退は、出口戦略として大切なことではある。

 だが、半面では、「もし、もうちょっと続けていれば時代が追いついたのに…」と撤退が早すぎるゆえの残念無念なビジネスも結構ある。やめないで、ふんばり続けることの難しさを痛感させられるところだ。

 ごくまれに、満を持して発売した新製品については終売させることはない、と豪語する企業がある。そのココロは、「終売しなければ、失敗にはならないから」だ。

 全社を挙げて拡販すれば必ずブレークする、という信念を持てるだけの①企画力と②実行力を自負しているからこそ、海路の日和が来るまで待っていられるのであろう。