ウォルマートの2012年度決算を改めてゆっくりと眺めてみた。
売上高は、4661億ドル(対前期比5.0%増)。円安にシフトしている現在、1ドル=100円で計算すれば46兆6100億円となり、日本国家の税収額と遜色ない規模に達している。
営業利益は278億ドル(同4.7%増)、純利益は170億ドル(同7.8%増)で全世界に69の店舗名で1万773店舗を展開している。
主要事業は①国内事業、②サムズクラブ(会員制ホールセールクラブ事業)、③海外事業の3つだ。
4005店舗を展開する①国内事業の売上高は2745億ドル(同3.9%増)。営業利益は215億ドル(同5.4%増)で全社における国内事業の利益構成比は77.3%だ。なお、既存店舗は、同1.8%成長を遂げている。
②サムズクラブは、現在620店舗を展開。売上高564億ドル(同4.9%増)は、米国小売業ランキングに当てはめると9位に位置するほど巨大だ。営業利益は20億ドル(同6.2%増)で利益構成比は7.1%。既存店舗は同3.9%増と好調に推移した。
もっとも注目したいのは、日本の西友(東京都/スティーブ・デイカス最高経営責任者)などを傘下に置く③海外事業だ。
売上高は1352億ドル(同7.4%増)、営業利益で669億ドル(同8.3%増)、利益構成比は24.1%。現在、26の国と地域に6148店舗を展開する。
過去1年間で急速な拡大が見て取れるのは、合計377店舗を保有するアフリカだ。
現地企業のマスマートを買収して一挙に店舗数を拡大した南アフリカ(333)を筆頭にボツワナ(12)、レソト(3)、マラウイ(2)、モザンビーク(17)、ナミビア(3)、ナイジェリア(2)スワジランド(1)タンザニア(1)、ウガンダ(1)、ザンビア(1)と展開店舗数を確実に伸ばしている(カッコ内は店舗数)。
極東に住む我々では、にわかに地図では指せないような国にも知らない間に店舗網を構築している辺りに同社の恐ろしさを感じる。
その他の国としてはアルゼンチン(94)、ブラジル(558)、カナダ(379)、チリ(329)、中国(393)、コスタリカ(205)、エルサルバドル(80)、グアテマラ(206)、ホンジュラス(72)、インド(20)、日本(438)、メキシコ(2353)、ニカラグア(79)、イギリス(565)となっている。
同社のすごさは、出店してみてうまくいかなければ即座に撤退するところにある。
2006年に韓国とドイツからの撤退を決めたのは周知のところだろう。
そして今後、ウォルマートは第4の柱としてEコマース事業を強化する見込みだ。
すでに「スキャン&ゴー」(モバイルレジ)や「ポラリス」(検索エンジン)、「マイ・ローカル・ウォルマート」(フェイスブック)などの実験を開始。1万773店舗、1週間あたりの来店客数2億4500万人を誇る同社が、実店舗とモバイルをいかにシームレスにつなげていくのかに注目したい。