記者会見場には、開始の30分ほど前に入るようにしているつもりだ。
元来のせっかち性によるところが大きいのだが、遅く行ってもロクなことがないという経験もある。
確かに開始時間間際に入っても、何の問題のない記者会見というのはある。
記者席はがらがらで前列も空いている。写真は、理想の位置から撮り放題というものだ。
ところが、ニュース性の高い記者会見の場合、ギリギリで到着すれば、最後尾の窮屈な席しか見当たらないことも少なくない。
もうスタートした時点で同業他社の記者に劣勢を強いられてしまっているのだ。
であるならば、わずか30分、前倒しで動くことにはとても価値があると言える。
同じように、取材のアポイントにおいても30分前には、待ち合わせ場所の周辺に入るようにしている。
これには苦い過去がある。
駆け出し記者の頃、東京都西部にあるドラッグストアの本部に2時間も遅刻したことがあった。
いまのように、ケータイの路線情報に必要事項を打ち込めば、到着時刻が簡単にわかるような時代ではなかったから、遅れたものの、いつ着くのかわからない。道中は終始、ハラハラドキドキだった。
その時は、結局、取材先の社長の時間を取材も含めて3時間以上奪ってしまった。
遅れを取り戻そうという焦りと取材相手に対する罪悪感や後ろめたさが相まえば、とても対等の立場には立てず、いい取材などできるわけがない。
取材する前から、相手にアドバンテージを与えてしまっているのだから。
たった30分の違いで、もったいないことである。
しかしながら、これほど30分前行動を心がけていても、何かの事情で遅刻しそうになり、肝を冷やすことがあるから怖い。
心がけていない人は、いずくんぞ、であろう。