ある創業経営者は言った。
「もう何十人という数の創業経営者と付き合ってきたが、みんな変人、変態だよ!」。
故人に限っていくつか名前をあげるなら、松下幸之助さん(パナソニック)、本田宗一郎さん(本田技研工業)、小倉昌男さん(ヤマト運輸)、中内功さん(ダイエー)、スティーブ・ジョブスさん(アップル)…今に伝わる数々の“武勇伝”を聞けばなるほどと思ってしまう。
既存の競争ルールからはみ出すことをいとわず、自らルールをつくり、信じた道をただただまい進する狂気ともいうべきものを持ち合わせているのだから当然と言えば当然のことだろう。
だから、創業経営者が一度、道を踏み外した時には、ブレーキは不在で、誰も止めることができない。
「会社とは社長がバカだから潰れるもの」と言うのは別の創業経営者だ。
彼は言う。「従業員に能力がなくて潰れた会社は過去に1社もない」。
創業経営者の会社は、ナンバーワンの社長の下には、ナンバー2もナンバー3もいない。たとえ、副社長や専務、常務、がいても名前だけに過ぎないのだという。
事業の創業時と拡大時に必要な能力は異なるのは誰もが知るところだが、創業経営者はそのことにさえ気づこうとしない傾向が強い。
所有と経営を分離すること、バトンタッチのタイミングの難しさを心底実感させられる、と2人創業経営者の話を思わず聞き入ってしまった。