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春は、「人生の読点」

 3月16日に気象庁が東京都の桜(ソメイヨシノ)開花と発表。今年の冬は、寒さが厳しかっただけに、週末の東京は、どこに行っても人でごった返していた。

 3月中旬から4月上旬にかけての東京は、1年の中では、もっとも混み合っているような気がする。

 

 その理由を私なりに考えてみると、冬の寒さを乗り越え、街に繰り出したい衝動が起こる時期に当たることがひとつだ。冬眠からの目覚めと言ってもいいだろう。

 

 ただ、それ以上に大きな理由は、多くの人たちにとって、新生活が始まるまでの束の間の休息期間に当たることだと思う。

 受験の抑圧から解放され、卒業式を終えた学生たちは、しばし帰属する組織を持たない。4月から就職する若者たちも同様だ。

 こんな時間は、人生の中でもそうそうあるものではなく、足取りは自然と軽くなるに違いない。

 

 人で混み合う街――。

 リアル店舗の強さを見せつけるには、絶好のチャンスだろう。あっ、それは余談として…。

 

 春は、「人生の読点」。

 そんな風に、混雑する街並みを眺めてみると、窮屈ではあるのだが、とても微笑ましく、愛おしく見えてくる。