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ボーダーレスの時代だから

 このBLOGで何度も書いているように、いまや流通業界はボーダーレスの時代に突入していると言っていい。

 

 アマゾン・ドット・コムは、衣・食・住の商品を網羅している。

 ロハコを運営するアスクル(東京都)の岩田彰一郎社長も視野に入れているのは、経済産業省が発表する商業統計の小売総額135兆円。そして、その先に横たわる全世界の消費市場だ。

 

 食品小売の世界は、食品スーパー(SM)、コンビニエンスストア、GMS(総合スーパー)などの既存プレイヤーだけの牙城ではなくなっている。

 ホームセンターやドラッグストアが続々と参入を決め、PB(プライベートブランド)の開発・販売にも傾注するようになった。

 ドラッグストアのコスモス薬品(福岡県/宇野正晃社長)は、売上高の52%を食品が占める。食品売上高1467億円はSM業界の12位に匹敵するほどの大きさであり、同社の場合は、もはや「ドラッグも取り扱うSM」と言って過言ではない。

 また、大型ホームファニシング専門店のIKEAでも食品を買うことは可能であり、むしろ食品を全く扱っていない小売企業を探すほうが難しい。

 

 さらには、一般用医薬品(大衆薬)のネット通販をめぐる裁判で、第1類・第2類医薬品の取り扱いを規制した厚生労働省省令を違法とする判決を出たことから、次は大衆薬販売がボーダーレス化していく可能性が高い。

 

 こうした動きから、類推できるのは、これまで厳然と存在した“業態の壁”は消失し、近い将来、何の意味をもたなくなるということだ。

 

 その際に、非常に重要になるのは、《わが社のアイデンティティ》だ。

 ボーダーレス時代の本格到来を前に、それが何であるのかを今一度、確認しておきたいところだ。