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過去最高益達成のイオン岡田元也社長@株主総会(後篇)

(昨日の続きです)

 

 さて、2013年2月期の2つめの主要課題は総合金融事業である。

 イオン銀行(東京都/片岡正二社長)は、2012年2月期は黒字化し、42億円の当期純利益を計上した。また、イオンクレジットサービス(東京都/神谷和秀社長)は、すでに2000万人以上のカード会員を持つ優良企業だ。

 そして、2社の協働・協業により成果は現れている。

 個人や小口の金融サービスは日本では手薄なサービスであるから、イオングループはこの分野に注力し、独自のポジションを確立したい。

 今後、イオングループ各社のお客様本位のコンセプトを取り込み、新しいサービスを提供しながら、ローコスト銀行を実現する。

 

 今年3月にイオンモール船橋(千葉県)内に「暮らしのマネープラザ」を開業した。イオン銀行、イオンクレジットサービス、イオン保険サービス(千葉県/小坂昌範社長)などを1か所に集めたことが特徴。国内ではもちろん、世界的にも数少ない小売業発のファイナンシャルモールであり、イオンモール内での重要なサービスとなっていくはずだ。

 今後の「暮らしのマネープラザ」への出店を中心にイオン銀行を200店舗体制に持っていき、グループにとっての大きな収益源にしていきたい。

 

 そして、3つめはアジアだ。すでに、日本、中国、アセアンの3本社体制を確立していることはご存知の通りだ。

 

 その中国とアセアン地域では、モール型ショッピングセンターの開業が続いている。

 今年に入って1月に山東省の済寧市に「イオン済寧ショッピングセンター」、4月にマレーシアに「イオン イポー ステーション18ショッピングセンター」と中国天津に「イオンモール天津中北」を開業した。

 また、新しいエリアとして2014年中にはベトナムのホーチミンに1号店、カンボジアにもプノンペンに1号店を出店する。

 そのほか、中国の江蘇省、浙江省、福建省、湖北省にもプロジェクトチームを設置し、市場調査と物件開発の準備を進めている。

 

 さらには、スーパーマーケット事業であるマックスバリュ各社も中国市場参入を果たし、大型SCだけではなく、多面的に中国市場へ進出していく。

 具体的には、山東省にはマックスバリュ西日本(広島県/岩本隆雄社長)、江蘇省にはマックスバリュ中部(三重県/正木雄三社長)、広東省にはマックスバリュ東海(静岡県/寺嶋晋社長)が参入する。

 

 タイは、これまで停滞気味であったが、小型スーパーの「マックスバリュタンジャイ」が成功している。今後、大型店舗の規制が厳しい環境の中で小型店舗出店を加速させ、活路を見出し、新しいマーケットを創造する。現在16店舗だが、2012年には40店舗、2013年には90店舗の達成をめざす。脱バンコクでバンコク以外の市場についても開拓していく。

 

 コンビニエンスストアのミニストップ(千葉県/阿部信行社長)は国内では後発で規模だけを取れば上位企業との比較で遜色がある。だから今後、ミニストップの主戦場は海外になる。いち早く、海外の構成比率の50%超えを達成し、韓国、フィリピン、中国、ベトナム、台湾、カザフスタンで出店する。

 

 こうした海外戦略を進めるにともない必要になる商品面の改革も同時進行で進めていく。2012年3月9日からは中国5法人61店舗で中国市場専用のトップバリュ(特慧優)を製造、販売を開始した。

 

 サービス企業で言えば、イオンファンタジー(千葉県/土谷美津子社長)のアジア展開は非常に有効だ。それというのも、アジア地域は、日本同様、子供の教育に大変熱心であり、おカネも時間も費やすからだ。

 イオンファンタジーは、ゲームセンターとは一線を画して確立した事業モデルだ。タイ、ベトナム、インドネシア、中国での展開について力を入れる。

 

 最後にイオンクレジットサービスは、イオングループではもっともアジアシフトが進んでいる。営業利益の半分は日本以外から稼ぎ出しているのでさらに進める。
アジアでどんどん増える新しい中産階級の大量生産大量消費を支えるためにも、現金消費だけではない支払方法の仕組みの構築。分割払いやクレジットを活用することで、アジアの消費の活性化に一役を果たしたい。

 

 こうした体制で2013年2月期(連結)は、営業収益5兆6500億円、営業利益2100億円~2200億円を目標にしている。