CGCグループ(東京都)の堀内淳弘代表は、「10年後、20年後の本格的高齢化社会に備えるべきだ」と断言する。
「1947年~49年に生まれ、企業をリタイヤした“団塊の世代”は現在、63歳~65歳に達している。しかし、これをもって高齢社会というにはいささか間違っている。現在の60代は心身ともに若く、エネルギッシュに動き回っているからだ」。
「しかし10年後、20年後は変わってくる」と言うのも堀内氏だ。
“団塊の世代”が後期高齢者の領域に達し、自由に動き回れなくなった時こそが本当の高齢老齢社会の到来を意味するという考えからだ。
「10年は、瞬く間に過ぎてしまう。にもかかわらず、製造業、販売業、サービス業ともに何も手を打っていないことが問題だ」。
「たとえば、日本の料亭ではいまだに畳に座布団を敷き座らせていることが多いが、正座はもちろん、高齢者は胡坐をかくことさえ難儀だ。だから、老舗割烹であっても座椅子を用意するとか、テーブル席にするとかの対策を打たなければいけないはず。しかし、そんなことをしているところは数少ない」。
堀内代表は、製造業にもはっきりとモノを言う。
「シャンプーとリンスのボトルは高齢者から見ればまったく同じ。書かれている文字は細かすぎて読むことができないから、両者を取り違えて使ってしまう。こんなケースは台所用洗剤、スキンケア、歯磨き粉、ボディソープなど…枚挙にいとまがない」。
そして製造業者に次のように呼びかけている。
「生活雑貨を取り違いがないようなパッケージのイノベーションに協力してもらえるメーカーはないだろうか? 双方の形や色を変えるなどそれほど難しいことではないはずだ。もちろん協力いただければ、CGCグループとしても乗りたい」。
また小売業に対しても同様に意見する。
「POPが小さくて読みづらい。色使いも下手で判別の厳しいものがある。従来の棚割りのゴールデンラインは変わり、一段低い位置がゴールデンラインになるはずだ。こうしたひとつひとつの改善を積み重ねることで、流通業界全体として高齢社会に対応したい」。