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チョコレートの話なんですけど

 今年のバレンタインデーを目前に控えた2月11日~12日。あるショッピングセンター(SC)では、メーカー主催の「手作りチョコ」教室が開かれた。

 

 1回40分、1日8回用意された講座は、申し込み者が殺到――。そこで急遽、講座の回数を10回に増やして、少しでも多くの希望者に参加してもらうことにした。

 

 教室には、親子で参加するお客の姿が目立った。その中で、もっとも盛り上がっていたのは、父親なのだという。むきになって、時間を忘れ、娘とともにチョコ作りに没頭する父親が続出した。

 この様子を見たメーカーの担当者は、「『手作りチョコ』は、コミュニケーションツールなのです」と言い、大盛況に胸を張った。

 

 昔からある《本命チョコ》《義理チョコ》のみならず、最近では同性におくる《友チョコ》、自分におくる《マイチョコ》、男性から女性に送る《逆チョコ》…とバレンタインデーのバリエーションが増え、女の子のスペシャルデーは、ずいぶんと様変わりしている。

 興奮しながら「手作りチョコ」に挑む父親は、その象徴的存在であり、バレンタインデーにまつわる消費潜在性の大きさを示しているように見える。

 

 潜在性ということでは、SCのみならず、GMS(総合スーパー)、食品スーパー、ホームセンター、ドラッグストアなどは、業態特性に応じた形で教室を開いてみるのも面白い。

 世代的にはゼロ歳からのバレンタインデーや還暦からのバレンタインデーというのがあってもいいし、隣人にチョコをあげる日としてもいい。

 

 どんなことでも当てはまるかもしれないが、紋切型の発想を壊して、柔軟に考えてみることが、市場を無限に広げるための入り口になる。