3つめとしてイオングループの強みについて話したい。
東日本大震災ではイオングループの強みが証明された。
その強みを分析していくと、1つには日本でも稀な本当の意味でのナショナルチェーンであり、全国にも海外にも店舗網を充実させている企業集団であることだ。
全国に店舗があるから、リスク分散でき、被災エリアを助けることができる。
また、グループ内には195社の多種多様な企業があるので相互補完・相補補助できる。
たとえばガソリンスタンドを展開するメガペトロ(千葉県/藤原茂昭社長)を持っていたからこそ、ガソリンを確保することができ、援助活動をスピーディーに進めることができた。
SCのメンテナンスを担当しているイオンディライト(大阪府/堤唯見社長)はグループ店舗の復興支援には非常に良い役割を果たしてくれている。グループ企業であるから修繕もどんどん最優先で進められるからだ。
さらにイオングループはサプライチェーンを自社でコントロールできることも強い。商品を開発し、生産し、物流センターに集結し、店舗へ配送している。だから、地域の物流センターが機能しなくても、別のエリアに代替えさせることができ、高い商品供給力を発揮できる。
実際に、この震災を受けて牛乳が品薄になった関東エリアには、九州地区からプライベートブランドの『トップバリュ阿蘇山麓酪農牛乳』を3月25日から毎日13トントラック1台(986ケース、1万1520本)を配送した。
最後は、2009年に持ち株会社に移行していたことだ。それぞれの企業の役割を明確にすることもでき、グループ全体がひとつの方向性に向かわせることができる。持ち株会社でなければ、きっと大変な混乱に直面しただろう。
イオンは、この3月から中期3カ年計画(2012年2月期―2015年2月期)をスタートさせた。何度も話しているように、東日本大震災後でも、当初の目標を変えることはしない。
3年後には、いまのイオンの原型はとどまっていないはずだ。そのくらい変わる。変態の主役はみなさんだ。
次の3年間だけでも日本、アジアで1万人の採用をする。その人たちの良き先輩として新しい成長するイオンの第1陣としてがんばってほしい。
東日本大震災は深刻な状況を日本にもたらしているが、日本の将来については何の心配もいらない。むしろこれで日本はふっきれるだろうと期待する。
過去20年間、みなさんが生まれた直後から、日本経済は良いことはなかったのだが、これからに期待したい。
被災エリアも日本も、いまよりは必ずよくなるはずだ。
みなさん1人1人が社会人として商人として、若さと勇気と誇りをもって、日本の復活・発展に貢献するようになることを期待する。