ホームセンター企業大手のカインズ(群馬県/土屋裕雅社長)は、2010年4月6日にカインズホーム市原店(千葉県)を開業した。
同店のサイクルコーナーで2つの新しい取り組みを発見したので紹介したい。
ひとつは、「パンクしにくい自転車」(1万9800円)だ。従来よりも5mm厚い9mmの底厚タイヤでパンクのリスクを軽減する。ゴムチューブを使用しているので乗り心地は快適。しかもメンテナンスは一般自転車同様に簡単というすぐれもの。
これまで市場には、ノーパンク自転車というのはあった。しかし、ノーパンク自転車は空気の代わりにウレタンチューブを使用しているので乗り心地はごつごつしており、快適な走行というにはほど遠かった。
カインズの自転車のミソは、「パンクしにくい」の7文字。もちろん五寸釘などを踏めば、パンクしてしまうが、なかなかしないことをうまく訴求するネーミングには苦心した。
もうひとつは、「おそろいで乗れる自転車」。大人用自転車、スポーツサイクル、子供用自転車、三輪車を3つのカラーで揃え、コーディネートできるというもので、ファミリーで同じテーストの自転車でサイクリングが楽しめるという提案型商品だ。
2つの取り組みに共通しているのは、マーケティング的な視点だ。「顧客の維持深耕・創造」にかかわる一切合財をマーケティング活動とするならば、カインズのサイクルコーナーには強いマーケティングの意思を感じる。
マーケティングの大先生の中には「小売業にマーケティングは不要」と一刀両断する方もいらっしゃるが、どうやらカインズの社内には小売業のマーケティングの息吹が芽生え始めているようだ。
ここにきて、同社のプライベートブランド売上構成比率が30%を超え、製造小売業への転換に拍車がかかっていることと深い関係があるように思える。製造業的な視点がマーケティングの充実につながっていると言えなくもない。