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イノベーターであり続ける!

 日本テレビの看板番組だった『うわさのチャンネル』でタモリを初めて目にしたときは本当にたまげた。「4ヶ国語麻雀」「ハナモゲラ語」「イグアナ」など、彼が繰り出すナンセンスな芸の数々は、古典的な滑稽から生まれるお笑いを遥かにしのいだ。

 当時のタモリの風貌といえば、アイパッチにオールバックのヘアスタイル。場末のスナックで口に糊する三流芸人然としたいかがわしさ・うさん臭さは放送禁止のインパクトを醸し出していた。

 しかし、不思議なもので、デビュー当時には“キワモノの権化”であったような彼らも徐々に角が取れるというか、丸みを帯びるようになってくる。

 それは、あるいは勘違いなのかも知れない。だが、もはやタモリは文化人と呼ぶにふさわしい。

 受け入れる側の慣れもあるのだろう。タモリも当初の斬新性をなくすようになっているのだろう。

 “変な奴”であり続けることは、実は難しいということなのだろう。

 

 商業の世界も同じで、1683年に三井高利が「現金安売、無掛値」のキャッチフレーズで越後屋を開業したときや、1957年に中内功さんが「主婦の店 ダイエー薬局」をオープンさせたときなどは、タモリ以上にうさん臭かったに違いない。

 越後屋は同業者から妬まれ糞尿を撒かれた。ダイエーコンビニエンスシステムズが運営していたローソンでも、ある店舗を開業した際に同じような事件が起こった。

 しかしながら、嫉妬や羨望されるほどうさん臭かった企業も、時の流れとともに“文化人”“大御所”の立場に堕落し、次第に異端の輝きを鈍らせる。

 チェーンストアビジネスも、いまや産業として確立、認知されるようになってはいるが、半面では失われているものも少なくない。大企業病と言ってしまえばそれまでだが、チェーンストア企業全体に何をしでかすか分からない、良い意味での危うさが欠如している気がする。

 イノベーターであり続けることの難しさを改めて実感させられるところだ。