プロスキーヤーである三浦雄一郎さんを囲む夕べに顔を出すと、良く知る経営者が家族で来ていた。
立ち話をするうちに、三浦さんが使用するスキー板「K2」の新製品の性能を紹介するビデオが会場に流れ始めた。
画面の中では、三浦雄一郎さんと二男でリレハンメルオリンピック、長野オリンピックに出場したモーグルスキー選手の三浦豪太さんが「K2」を履いて颯爽と滑り下りている――。
経営者の息子「おとうさん、このビデオの中のスキー場は苗場だよね」
経営者「分かんないな。(そばにいた知人に)ここは苗場ですかね?」
知人「ボクねぇ、確かによく似ているけれど、ここは残念ながら苗場じゃないね。この雪質から察するに、三浦先生の活動拠点がある北海道の手稲だと思うよ。手稲って知ってる?」
経営者の息子「ふーん」
<約数分間>
経営者の息子「このスキー場は苗場だよね?」
知人「(質問には無視して)このスキーを履いたら誰でも速く滑れるぞ」
<また数分間>
経営者の息子「やっぱり苗場だと思うんだけどな…」
いよいよビデオが終了して、協力先のテロップが映し出されると、そこにはしっかりと「苗場」の文字があり、経営者も知人もびっくり。息子の正当性は証明された。
自分が正しいと考えることを大人に何度否定されても後に引きさがらず、主張し続ける経営者の息子の姿に父親の生き写しを見た。親子とは本当に良く似るものだ。
そして、このまま順調に育っていけば、この企業は少なくともあと60年間は大丈夫、と確信するに至った。