日本のホームセンター業界は、この10年間余りで、急激な業界再編と淘汰が進んでいる。
『ダイヤモンド ホームセンター』誌(2009年9月号)によれば、2008年度の日本のホームセンター市場には、260社、4135店舗があり、売上規模は3兆6425億円(対前年度比0.3%減)となっている。
注目したいのは企業数である。1995年度のピーク時には443社あったものが2008年度には、実に183社減少。過去13年間で10社中4社の割合で消滅した格好だ。
そんな状況の中で、創業期からのホームセンター業界を知るサプライヤーの重鎮から話を聞く機会があった。
彼が言うには、消えた企業には共通の特徴があるという。
「創業社長のヒトがいいこと」だ。
ヒトがいいから、取引先にも従業員にも人気はある。ところが、その一方では、(1)断れない、(2)受け入れる、(3)取引先に合わせる、(4)裏切らない、(5)付き合いがいい…。ホームセンター市場が成熟化に向かう中で、そうした日常を繰り返すうちに、ヒトのいい経営者が舵を取る企業は目に見えて傾いていったという。
「確かに…」。
過去10年以上にわたってホームセンター業界を追いかけてきた私にも思い当たる節はたくさんある。
当たり前の話だが、ヒトの良さだけでは、企業経営はできないということだろう。
だからと言って、ヒトの悪さを推奨することにはならないが、取引先は案外よく見ているもの。上記のような性格を自覚している経営者諸兄は、少し反省してみる必要があるかもしれない。