[東京 31日 ロイター] – 総務省が31日に発表した2月の完全失業率(季節調整値)は2.4%で、前月(2.4%)と同率。ロイターの事前予測調査通りの結果となった。一方、厚生労働省が発表した2月の有効求人倍率(季節調整値)は1.45倍で、前月から0.04ポイント低下。求人票の記載項目の拡充が影響して求人表の提出数が減少した可能性があり、事前予測1.47倍をわずかに下回った。
完全失業率は2018年1月以降、2.2─2.5%と約26年ぶりの低い水準で推移している。総務省は「2%台前半で推移しているが、新型コロナウイルスの影響を注視していきたい」(幹部)と警戒感を示す。
就業者数(季節調整値)は6743万人と前月に比べ3万人増加。完全失業者数(同)は166万人と前月から2万人増加した。
一方、契約社員の就業者は減少傾向にある。米中貿易摩擦の影響で製造業での契約社員数が減少しており、前年比で製造業全体では8万人減、輸送機械は5万人減だった。総務省幹部は「今後、数字が大きく変わってくる場合は、新型コロナの影響が大きいかもしれない。3月の結果をよく見ていきたい」と指摘した。
有効求人倍率は3カ月で0.12ポイント低下、リーマンショック後に匹敵
有効求人倍率が低下した理由について、厚労省は1月から求人票の記載項目を拡充したことが影響している可能性があると指摘。この拡充に当たり、従来の求人票が利用できる12月中に駆け込みで求人の提出があり、その反動減が1月に引き続き生じている可能性がある。さらに、新型コロナの感染拡大を受けて、新規求人数が減少したことも考えられると分析した。
新型コロナの影響について厚労省幹部は、解雇までいかなくても、雇用調整や給与等の調整がみられると説明。観光バス、タクシー、旅客など、一部の業種ではすでに雇用調整が行われており、27日時点で雇用調整の可能性があった事業所数は3489に上った。
厚労省の担当者は「個別にみると影響はみられるが、全体の水準に大きな影響を及ぼすというような状況ではない。新型コロナの影響を定量的に計測するのは難しい」と説明した。
有効求人倍率は12月の1.57倍から0.12ポイント低下。この低下幅はリーマンショック後の2009年1月(0.64倍)から09年3月(0.52倍)の低下幅に匹敵する。厚労省同幹部は、基調判断について言及を避けつつも「個別(のヒアリング)では厳しい状況が続いているということは聞いている」と警戒感を示した。