海外店舗を視察に行っても質問ができない。視察先の担当者とあいさつができずにモジモジしてしまう。そんなアナタに“流通英語”の基本を教えます!第24回は、ウォルマートと差別化しながら、顧客ニーズに即した提案をする方法について、話が展開します。(これまでの全スキットはこちら)
今回のシーンと登場人物
やまだスーパーマーケットの山田信彦社長は、ディスカウンターとの競合対策を学ぶために、コーディネーターの大森剛と共にダンデライオン・マーケットを訪問した。2人は旗艦店の視察中、レイノルズ取締役とストーン店長にウォルマート対策のために行った改装の顛末について聞いている最中である。
登場人物
山田信彦 : やまだスーパーマーケット社長
トム・レイノルズ : ダンデライオン・マーケット取締役マーケティング部長
大森剛 : コーディネーター
ケン・ストーン: ダンデライオン・マーケット旗艦店店長
難易度(各英語センテンスに表記されています)
初級 : あいさつなど基本的な言い回し
中級 : よく使うので覚えておきたい言い回し
上級 : さらに突っ込んだ会話ができる言い回し
今週の英会話
ストーン:We had to stop selling many high-end products and imported exotic products. (中級)
最高級商品や輸入商品の多くの販売を取りやめなければなりませんでした。
レイノルズ:Then, we began to search for things that satisfied the needs and wants of the customers, while trying to differentiate ourselves from Wal-Mart. (中級)
そこで、ウォルマートと差別化できると同時に、お客さまのニーズや要求を満足させ る製品を探し始めました。
山田:What was your solution to such a difficult question?
そのような難問に対するあなたの解決策は何でしたか。
ストーン:Our solution was to find excellent products from all over the nation and then sell these at our store.
われわれが考えた解決策は、国中からすぐれた商品を見つけてきて、 店で販売することでした。
レイノルズ:The excellent products which Ken just mentioned are the daily products which please our customers, both in quality and price.
ケン(ストーン店長)が言った『すぐれた商品』とは、品質と価格の両面で お客さまを喜ばせることができる日常的な商品のことです。
ストーン:They are not necessarily fancy or well-known products.
これらは、必ずしも高級であったり、有名であったりする必要はありません。
解説
レイノルズ取締役とストーン店長が、失敗からの修復策2つのうちのひとつめを話している最中です。山田社長はこのスキットの中でひとつだけ質問をしています。結論を求める質問です。一方、今回のスキットでの文法的なポイントはtoです。5回も登場します。その中で今回ぜひ覚えていただきたい2つを「このセンテンスを覚えよう」で紹介しています。もうひとつ、製品・商品(product)を形容する言葉が8つ登場します。こちらもチェックしてください。
このセンテンスを覚えよう!
We had to stop selling~ : このスキットでは had to ですが、 わかりやすいように have to でお話しします。お懐かしいですね、学 校の英文法で習いました。意味は、「~しなければならない」でしたね。復習しましょう。have to の後には動詞の原形が付きます。同じような意味 でmustがあります。must との違いも学校で勉強しましたね。must が規定や命令であるのに対し、have to は必要性と習いました。つ まり、have to は「必要に迫られている」ときに使うと覚えてくださ い。had to は過去形で「~しなければならなかった」です。
We began to search for~ : 「~し始めた」という場合に用いる began to。現在形ならば begin to です。to の後には、動詞の原形 が付きます。上のセンテンス We had to stop selling~ では、 stopの後には ing の付いた動詞がきていますね。~するのを止める 場合は stop+動詞ing なのに対して、~し始めるの場合には begin to~です。混同しないようにご注意を。
KEYWORD 流通用語
high-end : 日本でもファッション業界などでよく使うことばですね。 「高級な」という意味。
differentiate : 「区別する」の意味。ビジネスでは「差別化する」 という意味で使います。スキットの例文のように「AをBと差別化す る」という場合には、differentiate A from B という言い方をしま す。
daily : 「日々の」「日常の」の意味。乳製品は dairy。スペルが似て いますので、お間違いなく。
fancy : fancy にもいろいろな意味がありますが、いずれの意味に も「凝りに凝った」というイメージがあります。食品や日用品に用いる 場合には「原材料を吟味し、製法にもこだわった特選品」を指しま す。スキットの訳文では high-end と同じく「高級」という言葉を用 いました。high-end が品質と共に価格も高いのに対して、fancy に は価格のイメージはありません。ただし、凝りに凝った結果、値段が 高くなるわけですが……。