通信大手KDDIが出資したコンビニエンスストアのローソンで今月、新たな経営体制が始動した。KDDIは自社のデジタル・通信技術をローソンの店舗に導入し、人工知能(AI)などを使った最先端のサービスを体験できる「未来のコンビニ」の実現を目指す。
―KDDIがローソンの経営に加わった。
KDDIが約5000億円でローソン株の半分を買い取り、三菱商事と共同経営することになった。KDDI出身者がローソン経営陣に加わった新体制が発足し、3社の社長が記者会見で今後の方針を説明した。
―ローソンはどう生まれ変わるのか。
会見で繰り返されたのは「リアルテックコンビニ」というキーワード。KDDIは全国1万4000超のローソン店舗で先端技術を活用し、新たなサービスの導入や業務の効率化を進める。高橋誠KDDI社長は会見で「行けば何か面白いことがあるコンビニにしたい」と意気込んだ。
―具体的には。
まずは、その実験場となる新店舗を来春、東京都内に開く。自分に合った商品を薦めてくれる電子看板「AIサイネージ」や、並ばずに買い物ができる「AIスマホレジ」が利用できる。通信や電気、ガスなど生活インフラに関する相談を受けるリモート接客ブースもある。飲料の補充や清掃はロボットが行う。ローソンの竹増貞信社長は「店舗の作業の3割は削減したい」と語った。
―新店舗以外で変化は。
有料会員制度「auスマートパス」が来月2日に「Ponta(ポンタ)パス」に刷新される。ポイント還元率の上乗せや、AIが選ぶ週替わりクーポンがもらえるサービスが加わる。年内にはKDDIの格安携帯電話料金プラン「povo(ポヴォ)」で、ローソンの店に行けばデータ通信容量が月最大1ギガバイト(GB)まで回復するサービスも始まる。
―KDDI側のローソンへの期待は大きい。
コンビニを地域課題を解決する社会インフラと見ている。将来的には配送などに使うドローンの配備や、求めに応じて運行する「オンデマンド交通」の拠点にする構想もある。高橋社長は「海外にも通用するものにしたい」と国際展開も視野に入れている。