新紙幣の発行が3日に迫った。金融機関のATMや鉄道の券売機は対応をほぼ済ませた。一方、飲料の自動販売機は道半ば。飲食店などの一部では対応するためのコストが大き過ぎるとして、現金を扱わないキャッシュレス決済を導入する動きもある。
三井住友銀行は、全国のATMと両替機の新紙幣対応作業をすでに終了。大手行では3日に日銀から新紙幣が届き、その後各店舗に配送するため、客が窓口で新紙幣を入手できるのは「原則4日以降」(三菱UFJ銀行)という店舗が多そうだ。JR東日本や西武鉄道も、券売機やチャージ機の対応を済ませた。
牛丼チェーン「松屋」を展開する松屋フーズホールディングスは3年前から券売機を入れ替えた上、この半年で新紙幣へ対応できるようシステムを更新。「セブン―イレブン」など主要コンビニもレジのプログラムを更新し、新紙幣を扱えるようにした。大手スーパーのイオンやライフコーポレーションも対応済みだ。
飲料自販機では、伊藤園が保有する11万台強の対応を済ませた。ただ多くの飲料メーカーは「新紙幣の流通状況に合わせて対応していく」(ダイドードリンコ)構えだ。キャッシュレス自販機が増えているという事情もあり、数年にわたって対応を進めるという社も少なくない。
首都圏で5軒のラーメン店「麺屋 音」を営む原直樹さん(46)は、券売機5台の入れ替えで計350万円かかったことを明らかにした上、「負担は大きいが仕方ない」とこぼす。横浜市のラーメン店「麺屋空海 センター北店」は券売機の対応を見送り、キャッシュレス決済を導入。注文も客自身がスマホでできるようにしたことで、注文取り違えも減ったという。