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非正規から正社員、じわり拡大=人手不足で安定・キャリアアップ

非正規から正社員への転換について担当者に相談する女性
〔写真説明〕非正規から正社員への転換について担当者に相談する女性(ランスタッド提供)

 人手不足が深刻化する中、企業でパート、アルバイトや派遣社員を正社員に登用する動きが広がっている。企業にとっては「即戦力」の人材定着、労働者にとっては雇用の安定やキャリアアップが期待できる。非正規雇用者の待遇改善は2024年春闘でも重要な論点となっており、動向が注目される。

 就職情報会社マイナビ(東京)が企業の採用担当者約2200人に行った調査では、23年に派遣社員から正社員への転換があった企業の割合は全体で21.8%で、このうち人手不足が深刻な情報通信や製造業では約3割に上った。一方でパート、アルバイトからの場合は21.3%で、特に飲食業は39.8%とコロナ禍の20年比で約2倍に膨らんだ。

 企業が注目するのは既に能力や経験値がある40~50代だ。すかいらーくホールディングスでは22年からミドル層の正社員登用を積極化。23年は育児などが落ち着いた女性を中心に、社内外から10人を採用した。直近では業界未経験者からの応募もあり、ロボット配膳やタブレット端末からの注文など働き方改革も進めて「働く人に優しい環境を整えている」(広報)という。

 人材サービスのランスタッド(東京)は1月、キャリアアップを目指す若手や、安定雇用を望むミドル層の派遣社員から正社員への転換を支援する「キャリアチェンジ転職チーム」を立ち上げた。榎本純也マネージャーは「自社での採用が難しい中小や、知名度が低い企業からの引き合いが強い」と話す。調剤薬局の正社員になった都内の30代女性は、雇用先と理想のミスマッチを避けるため同制度を利用。「未経験の人事職だが安心してスキルアップできている」と満足げだ。

 非正規は雇用者の4割弱を占め、特に飲食や小売業に多い。賃上げ波及に向けた待遇見直しは注目されており、イオンリテールはパート従業員の時給を昇給も含め7.02%引き上げることで妥結した。