厚生労働省は29日、2023年度版「労働経済の分析」(労働経済白書)を公表した。賃上げが経済に与える影響に関し、全労働者の賃金が1%増加した場合、消費や生産に効果が波及し、雇用が約16万人増加すると試算。賃上げはさらなる賃金増につながり得るとして、経済の好循環実現に向け「持続的な賃上げを実現していくことが重要だ」と強調した。
白書は、全労働者で1%の賃上げが行われた場合、商業や不動産業などを中心に消費が増え、経済全体で生産が2.2兆円増加すると推計。新たな需要に対応するため、商業や個人向けサービスなどで雇用が増加すると見込んだ。
政策が賃金に及ぼす影響についても分析。最低賃金1%の引き上げは、パートタイム労働者のうち、賃金が低い方から10%に位置する労働者の賃金を0.8%程度引き上げる可能性があると予測した。また、同一労働同一賃金の実施は、正規と非正規労働者の時給差を約10%縮小させた可能性があると指摘した。