【ワシントン時事】米労働省が7日発表した3月の雇用統計(季節調整済み)によると、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数は前月から23万6000人増加した。前月(32万6000人増、改定)から鈍化したものの、堅調な水準を保った。失業率は3.5%と、0.1ポイント改善し、労働市場がなおも過熱気味であることをうかがわせた。
就業者数は市場予想(24万人増)とほぼ同じ水準だった。業種別では、新型コロナウイルス禍からの持ち直しが続く娯楽・接客が前月比7万2000人増。一方、小売業は1万4600人減となった。平均時給は前年同月比4.2%増と、伸びは前月から減速した。
連邦準備制度理事会(FRB)は「インフレは高過ぎる」(高官)と懸念。人手不足による賃金の大幅上昇が、接客などサービス分野の価格を押し上げていると分析する。景気を冷まし、労働需要を抑えるため、追加利上げの構えを示す。
ただ、シリコンバレー銀行(SVB)など米中堅銀行2行の経営破綻を受けた信用不安を背景に、銀行が融資基準を厳しくし、景気が圧迫される恐れも浮上。FRBは5月の次回会合で、利上げについて慎重に判断するとみられる。
◇米雇用統計の概要
2月 3月
失業率 3.6% 3.5%
非農業部門就業者数 32.6万人 23.6万人
民間部門 26.6万人 18.9万人
物品生産部門 1.1万人 ▲0.7万人
サービス部門 25.5万人 19.6万人
政府部門 6.0万人 4.7万人
労働時間(週平均) 34.5時間 34.4時間
平均時給 33.09ドル 33.18ドル
平均時給伸び 4.6% 4.2%
労働参加率 62.5% 62.6%
U6失業率 6.8% 6.7%
長期失業者(半年以上) 105.7万人 110.4万人
経済的理由でのパート勤務 406.7万人 410.2万人
【注】▲は減少。「U6失業率」は完全失業者、正社員を希望しているパート労働者、働く意欲はあるが職探しをやめた人を加味した広義の失業率。