東京・上野公園など桜の名所で飲食を伴う宴会が4年ぶりに解禁されたことを受け、百貨店をはじめ小売り各社の花見商戦が熱を帯び始めた。コロナ禍で打撃を受けた屋形船にも、川べりの桜を楽しもうと予約が殺到。春の風物詩が戻ってきそうだ。
大丸東京店(千代田区)では酒やつまみの品ぞろえを前年より2割増強した。プラスチック製のワイングラスに入った「カップワイン」を店頭に並べたほか、「国産金目鯛のブイヤベース風」など少しぜいたくな缶詰のコーナーも充実させた。
そごう・西武も、老舗日本料理店の花見弁当やワインに合うオードブルなどを前年の約1.3倍用意した。ローソンは、花見スポット近くの店舗が珍味や紙コップの在庫を手厚くしている。
関連商品の売れ行きも好調だ。ホームセンターのDCMでは、レジャーシートや小型テーブルの売り上げが14日までの1週間で前年同期比約1.5倍に、クーラーバッグは約2倍に膨らんだ。
新型コロナウイルスの集団感染で大打撃を受けた屋形船にも客足が戻ってきた。「晴海屋」は東京・隅田川を周遊する花見船の運航を17日に始める。予約数は前年同期の約4.5倍で、コロナ禍前とほぼ同水準という。安田進社長は「お客さまが戻ってきた。人手が足りない」とうれしい悲鳴を上げる。
インテージ(東京)のアンケート調査では、今年の花見の予算は1人6935円と、前年のほぼ倍になった。同社は「昨年までの自粛モードから抜け出し、楽しみたいというマインドにあふれている」としている。