バレンタインデーを控え、百貨店各社のチョコレート商戦が本格化する。廃棄されようとしていた素材を生かしたチョコや、カカオ生産地の労働環境改善に取り組むブランドなど、世界共通の課題である「サステナブル(持続可能)」を意識したスイーツがずらり。物価高の波はチョコにも及ぶが、イートインの充実などをてこに各社は売り上げ拡大を目指す。
高島屋は、廃棄予定だったウイスキーだるに茶葉を漬け込んで香り付けした紅茶や、耕作放棄地で栽培された茶葉を使ったオリジナルのチョコ「Truffe SDGs」(2401円)などを販売。広報担当者は「サステナブルが消費者に浸透し、購買動機の一つになっている」と語る。
西武池袋本店は、カカオ農家の自立支援などに取り組むブランドのチョコを取り扱う。売り上げの一部は環境保全などに充てられる。大丸松坂屋百貨店は、家事や育児の合間などライフスタイルに合わせて女性スタッフがスイーツ作りに取り組めることを売りにしたブランドのチーズケーキを売り出す。
伊勢丹新宿店は、動物由来の食材を使わないビーガンのスイーツを取りそろえる。担当者は「コロナ禍で食生活を見直す人が増えた。体にも環境にも優しい」と話す。
松屋銀座は、外出機会が増えつつあることを商機と捉え、イートインや実演販売のスペースを拡充。コーヒー豆を漬け込んだスコッチウイスキーがベースのカクテルとヘーゼルナッツトリュフのセット(1650円)などを売り込む考えだ。
松屋銀座が取引先に実施したアンケートによると、原材料価格の上昇などで約9割のブランドが昨年よりも値上げしたと回答した。一方、新型コロナ感染対策としての行動制限などが求められないこともあり、同店は来客数の増加を予想、前年比1割増しの売り上げ目標を掲げる。