冬の需要期を迎えたマダラが北海道で大量に漁獲され、首都圏の魚市場などでも安値で取引されている。昨年に続く豊漁で、不漁や円安で多くの水産物が高騰している中、数少ない値下がり品として注目され、スーパーなどが売り込みに力を入れている。
北海道東部の近海では、はえ縄漁などによるマダラの漁獲がこの秋以降、活発化している。11月の根室市と釧路市の主要漁港の水揚げ量は合計約3500トンで、豊漁だった昨年11月より2割強も増加。平年並みだったおととしとの比較では3倍近くにまで急増した。
研究機関の北海道立総合研究機構水産研究本部は、「北海道のマダラ資源は昨年が高い水準だったので、今年も良い状態が続いている可能性が高い」と分析する。なお、マダラは調査が難しい深い海の魚のため生態には謎が多く、増加の詳しい要因などは今も調査中だという。
豊漁を受けて東京・豊洲市場(江東区)の取引価格も値下がりしている。11月下旬の北海道産マダラの卸値は、シラコ(精巣)入りの雄が1キロ当たり500~1000円、雌が200~500円で、昨年の同時期に多かった三陸産に比べ3割以上安い。かつては高級品だったシラコも、割安なパック品が豊富に入荷している。
都内量販店の11月下旬の店頭価格は、北海道産のマダラ切り身2切れが400~500円で、競合する養殖ブリやサケ類より2割以上安い。シラコは100グラム当たり240円前後で過去5年間でも最も安いという。練馬区のある大手スーパーの売り場担当者は「秋のサンマ商戦が不調だったので、この冬はタラで挽回したい」と期待を寄せている。