【ワシントン時事】米労働省が4日発表した10月の雇用統計(季節調整済み)によると、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数は前月から26万1000人増加した。失業率は3.7%と、0.2ポイント悪化した。
雇用の伸びは9月の31万5000人増(改定値)から鈍化したが、市場予想の20万人増を上回った。
米連邦準備制度理事会(FRB)は、人手不足で賃金が上昇し、インフレが高止まりする事態を警戒。12月の次回金融政策会合でも利上げを続けて過熱気味の景気を冷まし、労働需要の抑制を図る見通しだ。
業種別の就業者数は、コロナ禍による打撃が大きかった医療が5万3000人増、製造業が3万2000人増と、全体をけん引。一方、建設業は1000人増にとどまった。平均時給は前年同月比4.7%上昇と、伸びがやや縮小した。
米国ではコロナ禍後の需要急増に対し、労働力を含めた供給が追い付かず、物価が高騰。インフレ率は約40年ぶりの高水準で推移している。
パウエルFRB議長は「労働市場の需給バランスが崩れている」と懸念。インフレ低下には成長の減速とともに、労働需要の「鈍化が若干必要だ」との見方を示している。