【ワシントン時事】米労働省が10日発表した5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.6%上昇した。2カ月ぶりに前月(8.3%上昇)を上回り、1981年12月以来、40年5カ月ぶりの高い伸び率となった。市場予想(8.3%上昇)も上回った。原油高に伴うガソリン価格の高騰などが上昇率を一段と押し上げた。
項目別では、ガソリンが前年同月比48.7%上昇。新型コロナウイルス感染への懸念が後退したことで旅行需要が盛り上がり、航空運賃も37.8%上昇した。
ロシアのウクライナ侵攻でエネルギーや食品価格が高騰。コロナ危機後の景気回復を受けた旺盛な需要に供給が追い付かない状況が続いているほか、人手不足に伴う賃金上昇も物価高を招いている。中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は大幅利上げを続け、インフレを抑える方針だ。
一方、変動の激しい食品とエネルギーを除いた「コア指数」は6.0%上昇。前月(6.2%上昇)に続いて伸びが鈍化した。
物価高が長引き、米国民の間では家計負担の増加への不満が強まっている。バイデン大統領は、11月の中間選挙を控え、インフレ抑制を「最優先課題」に掲げる。
FRBは来週14、15日に開く金融政策会合で、5月の前回会合に続き、上げ幅が通常の倍となる0.5%の大幅利上げに踏み切る見通し。インフレ対策のため、引き締めを急ぐ構えだ。
◇5月の米消費者物価指数概要
消費者物価指数 1.0(前年同月比8.6)
コア指数 0.6(前年同月比6.0)
エネルギー 3.9
燃料油 16.9
ガソリン 4.1
衣料 0.7
新車 1.0
中古車 1.8
帰属家賃 0.6
航空運賃 12.6
(注)前月比%上昇、▲は低下。季節調整後。前年同月比は季節調整前