【ニューヨーク時事】米小売り大手ウォルマートは3日、今後3年間で、インターネット通販の発送センターを4カ所整備すると発表した。合計4000人以上を新たに雇用する。新型コロナウイルス危機を機に急速に普及したネット通販の強化に本腰を入れ、独走するネット通販最大手アマゾン・ドット・コムに対抗する構えだ。
第1弾として、今夏に米イリノイ州に新たな発送センターを稼働させる。インディアナ、テキサス、ペンシルベニアの各州にも順次建設する予定だ。建設費用は明らかにしていない。
発表によると、新センターは、自動化技術を導入し、商品の発送や管理を効率化する。新たな4カ所がすべて稼働し、既存の約4700店舗と210カ所の配送センターも活用すれば、米人口の95%に対し、翌日または翌々日までの配送が可能になると説明。競争が激化する中で「迅速な出荷と配送がより重要になっている」と指摘した。
また、同社は、米新興企業ドローンアップと提携し、ドローンによる宅配エリアも拡大する。年末までに34カ所の拠点を整備。これまで本社のあるアーカンソー州の一部などでの試験的な運用だったが、アリゾナ、フロリダ、テキサス、アーカンソー、ユタ、バージニアの6州、約400万世帯に対象を拡大する。最大で年100万個の配達が可能になるという。
ネット通販は、新型コロナ感染拡大が深刻化した2020年に急拡大した。調査会社イーマーケッターによると、22年の消費者向けネット通販のシェアは、アマゾンが約4割、ウォルマートは1割以下にとどまる見通しで、寡占状態になっている。
一方で、経済活動の正常化が進み、ネット通販の拡大ペースは鈍化。原油高による輸送費や人件費の増加により、コスト削減が課題になっており、ウォルマートは、新センターの整備やドローンの活用で、ネット通販の強化と効率化を同時に進める考えだ。