本件命令の発出時は特に必要であったと認められず、違法というべき―。新型コロナウイルス対策の営業時間短縮命令について、東京地裁が16日、原告の損害賠償請求は退けつつも、当時の東京都の対応をこう指摘した。敗訴した飲食チェーン「グローバルダイニング」の長谷川耕造社長(72)は「75%主張が受け入れられた」とし、引き続き控訴審で争う姿勢を鮮明にした。
長谷川社長は判決後に都内で記者会見に臨み、「今後似たような状況の時に、行政側はより科学的根拠を持って出してくれるという希望はある」と述べた。
提訴の理由について、時短要請に応じない店が数多くあった中で時短命令を受け、「表現の自由や法の下の平等がないがしろにされている」と感じたのが動機だったと強調。ただ、違憲だとは認められず、期待は外れた。「なぜ100%にしてくれなかったのか」と訴え、「納得がいくまでやる」と力を込めた。
会見に同席した弁護団長の倉持麟太郎弁護士は「(判決は)個別の店舗(の事情)を確認しないといけないというもので、行政にコストを課すものだ」と述べ、影響は大きいと指摘。控訴審でも都知事の過失責任について追及するとした。
一方の都幹部は、判決で命令の判断基準などに合理的な説明がないと指摘され、「行政の裁量ではないのか」と困惑。発出が緊急事態宣言解除3日前だったことに「もっと早く命令を出せば良かったのだろうが、手続きをないがしろにするわけにはいかない」とした上で、「感染急拡大スピードに行政対応が追い付いていなかったのかも。(判決に)不満はあるが、これからの対策はよりスピードが求められると受け止めるしかない」と語った。