東証2部上場の食品スーパー、オオゼキ(東京都世田谷区)はMBO(経営陣による買収)によって株式を非上場化する。創業者・佐藤達雄氏(故人)の娘である現会長兼社長の石原坂寿美江氏が全額出資する「ひまわり株式会社」が買付者となって、TOB(株式公開買付)を行なう。TOB終了後はオオゼキは上場を廃止するが、石原坂氏ほかの経営陣はそのまま役員にとどまる見通し。TOBの目的として同社では、株主の意向に左右されない中長期的視点で事業を行なうこと、四半期決算開示など上場に伴うコストを削減することを挙げている。
オオゼキは1957年の創業で、1999年に株式を店頭公開、2006年に東証2部に上場した。店舗従業員に仕入れ権限を持たせるなど「個店経営」が特徴で、食品スーパー各社がコスト削減のためにパート・アルバイトを多用するなかで、従業員主体の売り場運営を貫く。
東京と神奈川を中心に店舗数は30店(2009年5月末)、2009年2月期決算は売上高667億円、営業利益51億円で20期連続の増収増益を達成した。売上高営業利益率は7.7%と、食品スーパーとしては突出した高収益力を誇る。TOBの期間は8月18日から10月1日まで。買付価格は1株3750円で、8月13日までの過去6ヵ月の終値の平均値に45.9%のプレミアムを乗せた価格となる。買付予定株式の上限は設けず、発行済み株式数の65.8%を下限とする。取得額は最大で438億円。石原坂氏ほか創業家の役員陣が株式の42.3%(議決権ベース)を所有しているが、いずれも今回のTOBに応じることを決めている。