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ビオセボン、オンラインストアの好調支える「SNSマーケティング」とは

6月16日、ビオセボン・ジャポン(東京都/岡田尚也社長)は、展開するオーガニックスーパーマーケット「Bio C’ Bon(以下、ビオセボン)」の店頭で取り扱う商品を販売するオンラインストアを開設した。開設から約1カ月が経過した現在の動向と、オンラインストアと密接な関係にある同社のSNSマーケティングについてレポートする。

オーガニックを全国へ届ける

 ビオセボンは東京・神奈川に27店舗(21年7月末)を展開する食品スーパー(SM)で、「オーガニックを日常に」をコンセプトに掲げ、多岐に渡るオーガニック食品を取り揃えている。近年の健康志向の高まりを受けオーガニックやヴィーガン食へ関心が集まるなか、「利用してみたいが近くに店舗がない」という声を受け、店舗のない地域でも手軽にオーガニック食品を購入することができる手段としてオンラインストアを開設したかたちだ。

 オンラインストアでは、ビオセボンが店頭で販売している商品のうち生鮮食品、冷凍食品、デリカを除く約2300品目(一部オンラインストア限定商品あり)を取り扱う。常温便・冷蔵便の2温度帯が利用可能で、宅配便で全国へ届ける。現在、配送拠点としているのは「ビオセボン武蔵小杉店」(神奈川県川崎市)。オンラインストアオープン直後には注文が殺到する場面もあったというが、大きな配送遅延などはなく順調な滑り出しだった。

 売れ筋商品の代表は、店舗でも看板商品となっている植物性ミルク「イソラビオ」シリーズだ。重くかさばる商品のため、普段実店舗を利用しているユーザーでも「イソラビオ」だけはオンラインストアでまとめ買いする購買行動がみられるという。また、ベビーキッズカテゴリーでは、オーガニックフルーツ果汁100%のチューブ入りスムージーや、ベビー用菓子類のまとめ買いも目立ち、小さな子供を抱えて外出がしにくいがオーガニック食品を購入したいという母親層からも支持を集めていることがわかる。

 特筆したいのが、これらの商品のように、同社がSNSで紹介した商品を中心によく売れる傾向があるという点だ。実はビオセボンは、SNSを通じたファンマーケティングの成功例ともいえる成果を挙げているのだ。

カギを握るSNSマーケティング

 では、ビオセボンはオンラインストアに集客し売上をあげるためにどのようにSNSマーケティングを活用しているのだろうか?
ビオセボンが情報発信のため、とくに積極的に使用しているのがインスタグラム(Instagram)だ。フォロワーは約6万人(21年7月末)。最近は週1000〜2000人ペースでフォロワーが増加しているという。ビオセボン同様出店地域が限られている他SMのアカウントの多くが数千人程度のフォロワーに留まるなか、これは驚異的な数字だ。フォロワーは実店舗のある地域だけでなく全国に散らばっており、「いつかは店舗に行ってみたい、商品を買ってみたいという思いでインスタグラムを眺めてきたユーザーも多い」と同社広報担当者は話す。

ビオセボンのインスタグラムトップ。商品紹介や新店舗などの情報だけでなく、さまざまなライフスタイルの提案が行われている

 インスタグラムなどのSNSには、公式情報の発信だけでなく、商品を購入したユーザーがアレンジレシピやライフスタイルを自ら発信することで、広範囲に情報が伝播されるという効果がある。従来、店舗のない地域にもビオセボンのフォロワーが多く存在したのはまさにこの効果によるものだ。SNSから導線を繋げやすいオンラインストアの開設で、「憧れの商品をやっと手に入れた」ユーザーが情報を発信し、さらに購入の輪を広げていくSNSはビオセボンにとって極めて重要な存在といえるだろう。

好調な滑り出し、今後のサービス改良にも期待

 6月24日の「ビオセボンジョイナス店」オープンに際し、同社岡田尚也社長はオンラインストアについて、「まだ大々的に広告などを打っていないにも関わらず、オープン半月で想定していた売上を1週間でクリアする順調な滑り出し。今後、一つの事業として注力していく」と語った。

 現在オンラインストアで取り扱いのない生鮮食品、冷凍品に関しても、今後はメーカーや生産者からの直送モデルなどを通じた取り扱いを検討しているという。ただし、当日中など消費期限の短い総菜に関しては今後もオンラインストアで取り扱う予定はない。また現在、会員向けに行っているポイントサービスは、店舗とオンラインで別サービスとなっているため、今後一本化を検討していく。

 6月、7月には続けて4店舗をオープンするなど精力的にその勢力を拡大しつつあるビオセボン。同社が強みとするSNSマーケティングと、オンラインストアの今後の盛り上がりに注目だ。