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欧米で進むデジタルツインにWeB3.0..小売の進化加速させる技術をどう活用させるか?

DX白書1280

全米小売業協会(National Retail Federation)による世界最大規模の小売分野の展示会、NRF2023 Retail’s Big Show(以下、NRF2023)が2023年1月15~17日にニューヨークで開催された。最新の小売戦略とリテールテクノロジーを求めて、世界中から3万5000人以上が参加した今回のNRFビッグショー。本稿では、NRFビッグショーで行われたカンファレンスの中から、とくに関心が高かった、店舗体験とオペレーションを革新するテクノロジー、そしてWeb3.0についてレポートする。

※本稿は2023年3月1日発行の別冊「流通テクノロジー」で掲載された記事です。取材内容や所属などは発行日時点のものです。

クローガーが活用進める「デジタルツイン」とは

 「デジタルツイン」とは、現実空間のモノや環境に関する情報をデジタル化し、仮想空間上で同じように再現する技術を指す。クローガー(Kroger)はこのデジタルツインを使ってヴァーチャル店舗をつくり、シミュレーションを行っている(写真参照)。

米スーパーマーケット大手のクローガー(Kroger)は、「デジタルツイン」を使ってヴァーチャル店舗をつくり、従業員配置の検討などに活用している

 この取り組みについて、クローガーのテクノロジー・トランスフォメーションR&Dでバイス・プレジデントを務めるウェスリー・ローズ氏は、「デジタルツインの制作のために実際の店内にカメラを設置し、顧客の滞留時間、バスケットサイズ(買い上げ点数)などさまざまなデータを収集した」と説明する。また、顧客がどのデバイスや環境にどう反応するかを見るために、客数、滞留時間、バスケットサイズなどの設定を増減させ、「この店舗、この商圏ではいつ、どれだけ従業員を配置するか」などの判断に使っている。

 ほかにも、オペレーションにおける生産性の計測、価値の創造、プロセス改善、需要予測などにもデジタルツインは活用可能で、たとえば生鮮食品売場の場合、減耗・食品廃棄・コスト削減、賞味期限、顧客と商品の追跡、サプライチェーンの最適化等に活用できる。デジタルツインのメリットは、店内の複雑な状況をヴィジュアルで表現できるため、皆が理解しやすいという点だ。ただし、現在はこの技術で何ができるのか、学習を始めたばかりで基準をつくる段階にある。

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