前回は業務効率化にとてつもない効果を発揮するアプリ「Slack(スラック)」を紹介した。今回は、メルカリ(東京都/山田進太郎会長兼CEO)でフル活用していて、スラックと並んで使い勝手のよい「Google Workspace(グーグルワークスペース:旧G suite)」について解説する。
意外と知らない
Gメールの便利機能
グーグルワークスペースは、米グーグルが提供しているクラウドサービスの一種です。そう、皆さんが大好きな「クラウドサービス」です。グーグルワークスペースには月額680円の「ビジネススターター」、同1360円の「ビジネススタンダード」、同2040円の「ビジネスプラス」、全機能が使える「エンタープライズ」の4つの課金モデルがあります。メルカリでは当時、全社員が「エンタープライズ」に入っているほど、グーグルワークスペースを重宝しています。
グーグルワークスペースが「最強」である理由は4つのキラーコンテンツにあります。
まず1つ目は「Gメール」です。これは一部機能を制限されますが、グーグルワークスペースに加入していなくても利用できます。Gメールの優れているのは、ユーザーにとって使いやすい機能がたくさんあるからです。たとえば、スパムフィルターは世界最高レベルと言っていいでしょう。読んでいないメールマガジンなどもAIが勝手に判断し、迷惑メールフォルダーに振り分けてくれます。送られてきたメールの内容に応じて、「了解しました。」など、AIが簡単な返信テキストを自動でつくってくれる、という機能もあります。
さらに、Gメールがすごいのは、ユーザーだけでなく管理者にも都合がいい点です。昨今はフィッシング詐欺(偽のホームページに接続させ、重要な個人情報などを盗み出す行為)も横行しています。管理者はそういったメールを社員全員分削除することができ、また、誰が開けたかどうかも確認可能です。これらの管理機能により、被害を最小に食い止めることができるのです。
会議に紙は不要!
いなくてもOK
2つ目は「グーグルカレンダー」です。ここに社員全員が予定を書き込みます。会議も誰が参加するのか、しないのか、カレンダーで設定できます。業務効率を飛躍的に挙げる秘訣は、このカレンダー機能を使って、会議のやり方を大きく変えるところにあります。
メルカリでは会議でノートパソコンの持ち込みが必須です。なぜなら、会議用の資料が配られず、グーグルカレンダーに添付されているからです。ほぼすべての会議にはそれぞれの議題、検討する内容が記された資料が添付されていて、参加者はその資料を見ながら、話を進めます。
その際、とても役立つのが3つ目の「グーグルドキュメント」です。ドキュメント機能のすごいところは、会議資料などのファイルに、リアルタイムで、複数人が同時並行で書き込むことができる点です。この「複数人が同時並行」というのがポイントで、同じクラウドサービスでも米マイクロソフトの「Office365」では複数人が同時並行に編集できません。同時編集できることで、発表者が発言している途中に質問することができたり、会議中に議事録をつくり終えることができたり、飛躍的に業務効率が上がります。
最後4つ目が「グーグルMeet」です。これはテレビ電話のようなもので、これを活用することで、その場にいなくても会議に参加することができます。重役が揃わなくて会議ができない、といったこともなく、意思決定のスピードが上がります。
以上が、グーグルワークスペースが欠かせない最強サービスである理由です。まだ使っていない企業が導入するのにいちばんオススメなのは「ビジネススタンダード」コースです。1人当たり月額1000円ちょっとで生産性が格段に上がるのであれば、人件費のことを考えると、とても安いのではないでしょうか。