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COVID-19が加速するデータサイエンス

国内最大級のアナリティクス専門カンファレンス『SAS FORUM JAPAN 2020』(2020年11月25日開催)では、デジタルトランスフォーメーションを実現する最新のソリューションが紹介された。本フォーラムにおいては「流通・小売」部門では多彩なゲスト講師が登壇。流通・小売部門の5セッション分のレポートを紹介する。

危機乗り越え進化する人類

新型コロナウイルスの感染拡大で、世界中が大きな危機に瀕している。しかし歴史を振り返ると、人類はこれまで幾多の危機を乗り越え、その都度、進化を遂げてきたことがわかる。

14世紀半ば、ヨーロッパを中心にペストが大流行し世界の22%にあたる人口が減少した。だが、それにより人々の価値観が変化、その後、文化運動のルネサンスの勃興につながったといわれる。

また20世紀には東西冷戦が続くなか、高い耐障害性を備えたネットワークであるアーパネットが生まれた。それがインターネットとなり、現在、われわれの生活にとって不可欠なインフラとなっている。

では今回のコロナ禍の危機はどのような機会を与えてくれるのだろうか。感染リスクや不透明な経済の先行きといった負の面の一方、ポジティブな面もある。ひとつはデジタル化の加速。リモートワークが定着したことで通勤地獄から解放された人は多い。従来、日本が指摘されてきた生産性の低さを解決する契機になるという指摘もある。

コロナ禍でも明るい部分に目を向け、新しい革新を実現することは重要だ。そのなか今回は「COVID-19が加速するデータサイエンス」と題し、話をする。データサイエンスとは、幅広い分野のデータを使い、科学的な、また社会に有益な知見を引き出そうとするアプローチを意味する。

ここでは「感染症対策」「ビジネスの革新」「社会の変化」という3つの視点から、データサイエンスをいかに加速するかについて説明する。

リモートワークが定着

まず感染症対策は、今、状況はどのようになっているか、今後いかに広がるかを把握、予測することが重要だ。そのためには関連情報を幅広く集め、分析する必要があり、データサイエンスそのものといえる。

感染症とデータサイエンスの歴史をひも解けば、スイスの数学者、物理学者、ダニエル・ベルヌーイが18世紀、天然痘を撲滅するため数理モデルを作ったのが始まり。それをベースに発展させたものが、今も使われているSIRモデルだ。COVID-19へもデータサイエンスによる対策がとられ、終息に向かっていくことを願っている。なお感染モデルは、ビジネスにおいて口コミマーケティングにも応用できることも述べておきたい。

次のビジネスの革新では、あらゆる局面でデータサイエンスの高度化が求められている。COVID-19により、ビジネスでは「顧客の動きが読めない」「需要予測が当たらない」「リスクを読みきれない」といった変化が起きている。

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これに対し、需要や売上高、客数の予約のほか、客層変化など幅広い業務でデータサイエンスを適用する一方、ひとつのモデルを活用する静的モデルから、変化対応するモデルを使う動的モデルに変えるなどの取り組みが求められる(図表)。SASでは、ニューノーマルに対応したビジネスに適応するため、顧客管理からリスク管理、生産在庫の適正化など幅広い提案ができるので、ご興味ある企業は相談していただきたい。

最後は社会の変化。コロナ禍によりリモートワークが定着したのは前述の通りだ。大変な面もあるが、家族と過ごす時間が増えた、家庭に目を向ける機会になったなど、よい面も少なくない。

そのなか教育にも大きな変化が起こっている。ひとつの場所に集まらなくても、居住地を気にすることなく、どこにいても教育を受けられるようになっている。このように働き方、また教育など、これまで当たり前とされていたことに問いを投げかけているのがコロナ禍ではないだろうか。

COVID-19がもたらした「制約」は、産業革命以降の既成概念を取り払う絶好の機会だ。データサイエンスを高度化すれば、ビジネス、社会の変革を実現できるはずだと期待している。

各プログラムの詳細

下記画像リンクから、各プログラムの詳細をご覧いただけます。