国内最大のECサイト「楽天市場」をはじめ、さまざまなインターネット関連サービスを展開する楽天グループ(東京都/三木谷浩史会長兼社長)。同社はこれまでオンライン上で蓄積してきた膨大な購買データを武器に、リテールメディア事業を推進している。日本ではオフライン(リアル店舗)を主軸にリテールメディア市場が拡大傾向にあるが、オンライン事業者である楽天グループはどのように市場を開拓しているのか。
オンライン広告の性質に変化
楽天グループはECモール「楽天市場」のほか、「Rakuten Fashion」「楽天全国スーパー」など、複数のECサービスを展開している。それらを合わせた流通総額は、2022年度で約5兆6000億円に上る。
それと比例するように、広告事業も好調に推移している。同社の22年度の国内広告売上(インターネットサービス、フィンテック、モバイル事業セグメントにおける広告売上高の合計値)は対前年度比15.9%増の約1830億円。過去3年間の年平均成長率は17.7%と力強い伸びを示している。また、直近の23年度通期では2000億円の大台にのる見通しで、これはテレビの主要キー局の広告関連売上高に匹敵する規模である。
このように楽天グループは国内最大のEC事業者として、広告事業をすでに大きなプロダクトに育てている。そうしたなか、「近年の世界的なリテールメディア市場の拡大は、楽天グループの広告事業が新たなフェーズへと突き進む契機になった」と話すのは、楽天グループ常務執行役員コマース&マーケティングカンパニーシニアヴァイスプレジデントの松村亮氏だ。
実際、広告の性質にここ数年大きな変化が表れているという。たとえば「楽天市場」は小規模の販売事業者の出店が多いモール型ECであるため、出稿される広告もダイレクトな販促をねらったものがメーンだった。しかし最近ではナショナルブランド(NB)メーカーの出店も増え、それと同時にブランディングをねらった
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