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ロスが売上に変わる!生産者と購入者をつなぐフードロス対策プラットフォーマーのRender

2019年9月11日から13日までの3日間、東京ビッグサイトにて、食に関わる6つの展示会(フードシステムソリューション、フードセーフティジャパン、フードファクトリー、フードディストリビューション、フードeコマース、SOUZAI JAPAN)が同時開催され、「食品のEC」をテーマにした「フードeコマース」(主催:食品イーコマース普及協会)は、国内初の食品特化のECの展示会だったこともあり、3日間の合計入場者数は4万6138名にのぼった。
そうしたなか、フードロス対策として販売者と消費者のニーズをキャッチした新たなプラットフォームが登場した。販売者が抱えていたロスが売上に変わる、消費者が安く楽しく買える仕組みを紹介する。

Render HP: https://render.co.jp/

Web環境だからできる新しい販売プラットフォーム

 2019101日より、「食品ロスの削減の推進に関する法律」(略称:食品ロス削減推進法)が施行された。

 この法律では、食品ロスの削減を国民運動と位置づけ、政府が食品ロスの削減基本方針を策定すると明示。自治体には具体的な推進計画をつくる努力義務を課し、事業者に施策への協力を求めたほか、消費者にも食品の買い方を工夫するなど、自主的に取り組むよう促している。

 この施行のタイミングとほぼ時を同じくして、ユニークなBtoC向けプラットフォームのアプリがリリースされた。賞味期限が近づいているなどの、いわゆる“わけあり品”を、お買い得に購入できる、詰め放題ショッピングサイト「Render(レンダー)」(社名も同名、岐阜県/森田喜知也社長)だ。

「このサイトでは、お得な買物をしながら、実は、フードロスの削減に協力することができる。ビジネスモデル特許の出願もしている」(森田社長)

 このRenderでは、
「大量の商品を一度にさばきたい」
「キャリー品の場所がもったいない」
「賞味期限が近く、早く多く売りたい」
B品、規格落ちだけどさばきたい」
「傷モノで出荷できないけど売りたい」
「今日の売れ残りを何とかしたい」
 という生産者、メーカー、小売業者などが、いつでも好きなときに出品することができ、販売代金の10%を販売手数料として支払うという仕組みだ。

  販売者としての登録には事前審査があり、法人の場合、販売手数料のほかに、登録費用5万円(税別)がかかる。実際の販売にあたっては、スマートフォン(スマホ)上で、売りたい商品を出品登録し(商品説明、商品状態、配送料、配送方法、発送元地域、発送日数など)、販売方法を指定するだけ。

 販売方法には3つの方法があり、制限時間は2.5秒、画面で連打した回数分、商品を詰め込める「レンダ回数分商品購入」(購入者モード「ツメモ」)、制限時間内に指定回数を連打することで購入権利が手に入る「レンダタイムアタック権利」(購入者モード「ハヤモ」)、連打した回数分の割引が受けられる「レンダ回数×割引単価」(購入者モード「ヤスモ」)だ。いずれの方法でも、ゲーム感覚でトライできるというのも、Renderの特徴だ。

Renderが提案する新たな買物スタイルとは?

Renderアプリの「ツメモ」の1商品。2.5秒連打した回数分を詰め込める

 購入データはメールで届けられ、それに応じて、商品を発送することになる。

Renderを着想したのは、5,6年前。アパレル業者から『B品、キャリー品の廃棄ロスを何とかしたい。年2回のワゴンセールだけでは追いつかない。Webでさばける方法はないか』と相談を受けたのがきっかけ。当時はまだ、現在のような日本全体で食品ロスに対する意識は薄かった」(同)

 たとえば岐阜県は富有柿の産地として有名だ。東京に出荷すれば、贈答品として「1個350円」程度で売れる。しかし、ちょっと傷があったりすると「袋に56個入れて1袋100円」で、地元で販売されることになるが、そうそう売れるものでもない。

「その商品でも東京でなら『1個100円』でも市場性はある」(同)

 見切り品を廉価販売で処分するスーパーは多い。しかし、人口減少の進む地方では、そもそも需要が少ないのだから、多少、安くしたところで、お金に簡単に換わるというものではない。それに対し、東京、大阪、名古屋のような人口集中エリアであれば、同じ条件でも購入を希望する人が見つかるだろう。

 また、基本はBtoCだが、食材コストを少しでも抑えたいと考える飲食店での利用も想定している。たとえば、(北海道産というように)名産地品でありながら、流通に乗らない商品(味に問題のない傷もの)が安く購入できるのであれば、購入を希望する店舗は少なくないはずだ。

 こうしたニーズを満たし、食品ロスを削減するプラットフォームとしてRenderがある。限られたスポットでは対応できなかったことでも、Web環境を利用して人口集中エリアを含む全国という面対応ができるようになれば、その可能性は限りなく広がる。

 長引く景気低迷により、消費者の家計防衛意識は強い。わけあり、B品、規格落ちなどの商品は、味にはほとんど影響がなく、家庭で食べるにはお手ごろ、お買い得と考える、賢い消費者も増えている。また、シェアリング発想の高まりから、近所の主婦仲間の間で、お得にまとめ買いをして、シェアするというスタイルも根付きつつある。

 Renderが提案する新たな買物スタイルに、今追い風が吹いている。