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トライアルともタッグ!これが「国産無人店舗」の最先端=ヴィンクス

「無人店舗」の主要プレイヤーは、米アマゾンや中国のテック系スタートアップが中心だが、最近は、国内企業も革新的な無人店舗技術を次々と発表している。その代表格が、流通小売業向けシステムを手がけるヴィンクス(大阪府/今城浩一社長)だ。同社が開発中の最新店舗技術を見ていこう。(本稿は2019年3月5~8日に開催された、第35回流通情報システム総合展「リテールテックJAPAN 2019」の展示をレポートしたものです)。

3つの無人店舗技術を展開

 流通小売業向けにさまざまなソリューションを提供するヴィンクスのブースでは、3タイプの無人店舗技術を展示していた。

 ディスカウントストアを展開するトライアルカンパニー(福岡県/亀田晃一社長)で稼働中の「スマートレジカート」、ヴィンクス社内の売店で運用中の「VINX STORE」、そしてウォークスルー決済を可能とする「AI無人決済システム」だ。

 1つずつ見ていくと、トライアルカンパニー7店舗ですでに稼働しているスマートレジカートは、ショッピングカートにタブレット型のセルフレジ機能を搭載してもの。会員専用のプリペイドカードでログインしておけば、通常のレジをスルーして、ボタン1つで会計を済ますことができる。

 タブレットの画面には、売場でスキャンされた商品情報に基づいたレコメンドを表示させることができる。トライアルカンパニーではこの仕組みを活用し、メーカー協賛のクーポンや、メーカーのCM、ポイントボーナスの発行など、メーカーを巻き込んだ施策を展開し、会員を獲得しようとしている。

 スマートレジカートを導入した7店舗では、着実に同カートの認知度が高まっている。最近では来店客の40%以上が利用するようになっており、店舗全体の売上もそれに比例するように伸びを示している。

 なお、トライアルカンパニーは20193月、同社グループ会社と、ヴィンクスのグループ会社との共同出資により、Retail Shift(東京都/百武佳美社長)を設立。スマートレジカートの運用システムの外販に向け、取り組みをスタートさせている。

リモート管理可能なキャッシュレス・セルフレジ店舗「VINX STORE」

 2つ目の「VINX STORE」はキャッシュレス・セルフレジの店舗だ。

 同技術は限られた一部の人だけ(たとえば社内の人間のみ)が利用できるような「マイクロマーケット」を対象に開発されたもので、仕組みとしては、自分で商品を手に取り、セルフレジでスキャンして商品を登録、決済方法を選んで完了する。レジスタッフを配置しないことによるコスト削減や、レジの混雑削減、現金を扱わないためレジ誤差がゼロ、といったメリットが期待される。

 今回の展示では、防犯を目的にAI搭載カメラを天井に設置し、店内で不審な動きをするお客がいないか(たとえば、商品を手に取らず店内を行ったり来たりしている人はいないか、じっと止まっている人はいないかなど)を監視する。怪しい人物が検出されると管理画面に通知が送られるようになっており、遠隔で対象人物に向けて声掛けすることもできる。

 レシートの補給、商品の陳列などは直接人が行う必要があるが、店舗管理だけなら、リモートで対応できる。駅内の売店程度の広さであれば、「10店舗くらい無人店舗を経営していても、十分監視できる」(ヴィンクス担当者)という。

Bluetoothを使った
ウォークスルー決済

 最後の「AI無人決済システム」は、3つの技術のなかでは最もテクノロジー志向の強いものである。

 入店時に、bluetoothを「ON」にした状態のスマートフォンからログインし、棚に陳列された商品を手に取り、そのまま出店するだけで、精算されるいわゆる“ウォークスルー”の仕組みだ。


ウォークスルー決済を可能とする「AI無人決済システム」

 このAI無人決済システムの基本になっているのが、天井に設置されたカメラによる画像認識と、陳列棚に取り付けられたセンサーである。お客が入店すると、カメラがその人の動きを追跡し、bluetoothで店内での位置情報を確認しながら本人であることを確認。棚に設置されたセンサーでは、商品が取られたかどうかを認識する。この組み合わせにより、入店した人が商品を手に取っているかどうかを判断し、仮想カートに商品を登録。その状態のまま出店すると決済される。

 今回の展示では、お客が商品を手に取ると、店内中央の壁面に設置されたデジタルサイネージ上に、どの商品が取られたのかが表示され、関連購買を促すようなメニュー提案がなされるようになっていた。

 完全無人の店舗というのは、利用する側にとっても不安の大きいものだ。そこで、今回のシステムでは店内を遠隔監視するだけでなく、モニター越しに接客対応ができるようにしている。このような仕組みが広がっていけば、勤務場所にも関係なく(自宅からでも)、ハンディキャップを負った人でも接客を担当することができる。「新しい働き方の提案」(担当者)というねらいもあるようだ。