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RFIDはもう古い?進化を続ける中国無人コンビニ「無人超市」の実力をレポート!

北京の京東本社内にある無人超市の1号店
2017年10月に北京の京東本社内に1号店が開業。その後北京市内のほか、天津や大連、西安、さらにはインドネシアの首都ジャカルタにも店舗を拡大し、国内外に約20店舗を展開している。

日本でも大手コンビニを中心に無人化技術の開発が活発化しつつある。しかし、その一歩二歩先を行くのが中国だ。『ダイヤモンド・チェーンストア』編集部は、同国のEC2位の京東(ジンドン:JD.com)が展開する無人コンビニ「無人超市」を取材する機会を得た。世界中が注目する中国の最先端の無人店舗の実力とは。

 専用アプリで簡単決済。シンプルな買物プロセスを実現。

  無人超市は、201710月に北京の京東本社内に1号店が開業。その後北京市内のほか、天津や大連、西安、さらにはインドネシアの首都ジャカルタにも店舗を拡大し、国内外に約20店舗を展開している。

 無人超市における買物プロセスは非常にシンプルだ。専用アプリをあらかじめダウンロードし、自分の顔写真を登録しておく。入店する際は、アプリに表示されたQRコードをゲートのタッチポイントにかざし、あとは好きな商品を手に取り、出口のゲートを通過して退店するだけで決済が完了する。アマゾン(Amazon.com)が展開する「アマゾン・ゴー」と同様、レジに並んで精算する必要はない。

入口のゲートで専用アプリに表示されたQRコードをスキャンすると入店することができる

RFIDタグが運用の足かせに

 こうしたシステムを支えているのは、画像認識技術と重量センサー、そしてRFIDの技術だ。ユーザーがゲートを通過して入店する際に顔認証を行い、天井部に設置されたセンサーカメラによって売場での行動を分析。さらに商品棚に設置した重量センサーが、商品を手に取ったかどうかを感知する仕組みとなっている。

商品を手に取ってゲートを通過するだけで、自動的に決済が完了する

   ただ、画像認識と重量センサーだけでは精度が不十分なため、補完的にRFIDの技術も導入している。そのため、RFIDタグの貼付や商品情報の入力といった煩雑な作業が必要となり、運営上の負担となっているのが現状だ。また、RFIDタグそのものも、以前より価格は下がったとはいえ、販売する商品の単価からすると決して“リーズナブル”とは言えない。さらに、水分や熱に弱いといった性質上の問題も運営上の足かせになる。

 つまり、運営コストを考えるとRFIDの導入には課題が山積みだが、無人店舗を成立させるうえでは、RFIDを使わざるを得ないといったジレンマを京東は抱えていたのだ。

すべての商品にRFIDタグが貼付されている

全身認証システムで脱・RFID化に挑戦! 

 そうしたなか京東は今年4月から、本社内にある1号店において、RFIDを使わない新たなモデルの実験を開始した。RFIDを導入しない代わりに大きく進化させたのが画像認識技術で、従来の顔認証ではなく、顧客の全身を認証する方式を京東で初めて採用。開発担当者は、「顔認証から全身認証に切り替えたことで、(顔認証とRFIDを併用している既存店よりも)、認識の精度は格段に上がった」と胸を張る。商品棚にはこれまでどおり重量センサーを設置し、商品の動きを感知しているものの、「あくまでも補完的なもの」(同)であるという。

実験店舗の店内の様子。天井部に設置されたカメラと、棚の重量センサーで利用客の行動を認識する。RFIDタグがないため、全体的にスッキリした印象だ

 また、この新しい運営モデルでは、1人のユーザーがどれだけ多くの商品を手にとって退店したとしても、ほぼ問題なく認証できるとのこと。ただし一度に入店できるのは十数人までで、それ以上になると正確に決済できなくなる可能性があるようだ。しかし、「アルゴリズムを進化させていけば、カバーできる客数はどんどん増えていく」と開発担当者は説明する。

 画像認識技術を進化させ、RFIDに依存しないローコストモデルの無人CVSを実現したことで、京東は無人超市の多店舗展開にはずみをつけることになる。

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