至る所にあふれる広告
世の中のすべてが広告になる。そう断言する人がいるほど、たしかに私たちの視界には広告があふれている。家を出て帰宅するまで、数百から数千の広告を目にする。エスカレーターの手すりからコンビニのレシートにまで商品広告が載っている。
本連載で以前も少し触れたが、私がコンサルティング業を始めたとき、先輩から「必ず請求書には自社のリーフレットを封入しろ」と言われた。請求書は唯一といっていいほど必ず顧客に読まれる資料で、かつ受け手は自社サービスに一度はお金を払ってくれたのだから、そこにチラシを入れないのは“愚の骨頂”というわけだ。
言い方を変えれば、広告を打つチャンスはそこかしこに存在する。以前、私はショッピングセンターとアウトレットモールで売上をアップさせる施策を訊かれたので「各店舗で売れたものを、お客に持たせずに入口まで転送したほうがいい」と提案した経験がある。お客は荷物を持つほど疲労によって、新たな買物をしなくなる。だからずっと手ぶらにさせるべきだ。そうすればついで買いが促進されるだろう。
しかし、入口から受付まで商品を運ぶ途中の品質保証責任は誰が負うのかとか、そんな責任は負えないとかのくだらない理由で、私のアイデアは採用されなかった。もったいない話だ。手ぶらになった客に、それまでの買物履歴をもとに新たな商品や店舗を提案したら、はるかに売上が上がるはずなのに。
メタバースが変え得るマーケティングの世界
ところで、本誌でも特集されているように、小売の世界ではメタバースの活用が注目されている。
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