イオンリテール(千葉県/井出武美社長)は昨今、都市型ショッピングセンター(SC)「そよら」の出店を全国で進めている。関東に次ぐ規模のマーケットが広がる関西は、イオンリテールとしても重点エリアに位置づける場所だ。
食品スーパー(SM)との競争が熾烈化するなか、SCとしてのワンストップ性の高さと、イオンリテールならではの地域に密着した施設づくりによるすみ分けを図っている。
「デベロッパー」でもあり、「リテーラー」でもある強み
「通う」「集う」「つながる場」をキーワードに、都市生活を支える地域密着型・都市型SCとして開発された「そよら」。2020年3月に第1号店の「そよら海老江」(大阪府大阪市)を開業後、新規出店や既存店からの業態転換などで全国で出店を重ね、11月末時点で14店舗を展開している。
「そよら」の開発に際してイオンリテールならではの強みとなっているのが、総合スーパー(GMS)企業として長年蓄積してきた、「デベロッパー」「リテーラー」それぞれのノウハウを有している点だ。
つまり、商圏ニーズに合致した最適なテナント構成を立案・誘致するデベロッパーとしての開発力と、食品や日用品・医薬品をはじめとする直営売場でのリテーラーとしての緻密なMD(商品政策)を掛け合わせる。それが、「そよら」というフォーマットを構築しているのだ。
イオンリテールが「そよら」においてもう1つ欠かせない機能に位置づけるのが、「地域密着」だ。イオンリテール執行役員SC本部長の簑原邦明氏は、「小商圏型SCである『そよら』では、地域コミュニティに『入り込む』ことが、お客さまからの継続的な支持を得るうえでも何より重要」との考えを示す。
それは、地域ニーズに合わせたMDやテナントを導入するといった範疇にとどまらない。たとえば24年3月開業の「そよら鈴鹿白子」(三重県鈴鹿市)では、屋外に地域の人々が「集う場」として、芝生エリアやオープンテラス席を設置。
さらに24年夏には、近隣の商店街と連携し、地元の祭り「すずかフェスティバル」を盛り上げた。
また、商圏ニーズにより特化した
・・・この記事は有料会員向けです。続きをご覧の方はこちらのリンクからログインの上閲覧ください。