岩手県最南部に位置する一関市では近年、東北新幹線も乗り入れる「一関」駅を中心としたエリアで、「クスリのアオキ」をはじめとするフード&ドラッグが店舗網を拡大。リージョナル、ローカルの食品スーパー(SM)がそれらを迎え撃つという激しい競争が繰り広げられている。比較的競争の緩やかだった東北地方でも、ドラッグストア(DgS)とSMの競争が本格化しつつあるようだ。現地を訪れ、乱戦の行方を考察した。
クスリのアオキ進出が大きなインパクトに
令和2年(2020年)の国勢調査によると、一関市の人口は県内第3位の約11万人で、前回調査(15年)から7.9%減少。一方で65歳以上の人口比率は37.1%(前回調査から3.7ポイント増)と、人口減少と高齢化が加速している。
それにもかかわらず、市内ではDgSが密度の高い店舗網を構築し、SMとの競争度合いが強まっている。なかでも競争環境に変化をもたらす契機となったのが、クスリのアオキホールディングス(石川県:以下、クスリのアオキ)の進出だ。同社は20年に盛岡市と一関市に同時出店し岩手県に上陸。その後22年に一関に本部を置くSM、ホーマス・キリンヤとフードパワーセンター・バリュー(2社とも運営母体は同一)を買収し、同社の一部店舗を生鮮フルライン型店舗に転換している。東北地方にこうした生鮮フルライン型のDgSはそれまでほとんど存在せず、既存のSMあるいはDgSにとってのインパクトは小さくなかったはずだ。
半径3㎞圏だけでDgSが9店舗!
まずは市内のDgSとSMの店舗概要と印象を簡単に記しておきたい。一ノ関駅からおおむね半径3㎞圏内にはDgSが9店舗、SMが6店舗存在し、今回はこのうち、DgSは「薬王堂一関三関店」「カワチ薬品一関店」「マツモトキヨシ一関店」「クスリのアオキ一関店」、SMは「ジョイス三関店」「ビッグハウス一関店」「イオンスーパーセンター一関店」の計7店舗を調査した。
まずDgSだが、「薬王堂一関三関店」と「カワチ薬品一関店」についてはそれぞれの標準的なフォーマット、サイズ感の店舗である。いずれもフード&ドラッグのパイオニア的チェーンであるが、対象店舗については生鮮の扱いは限定的であり、少なくとも強い集客装置にはなっていないようだった。
「マツモトキヨシ一関店」は
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