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7千万円の腕時計も! 銀座に移転オープンの「コメ兵」、売場半減でも売上維持できる仕掛けとは

ブランド品リユース大手のコメ兵ホールディングス(愛知県/石原卓児社長)傘下のコメ兵(同)は2023年1月19日、東京・銀座に「KOMEHYO GINZA」をオープンする。旧店舗「KOMEHYO銀座店」からの移転出店となる同店では、「好奇心の一番地。」をストアコンセプトに、リアル店舗ならではの体験を強化したという。代表取締役社長の石原卓児氏にそのねらいを聞いた。

美術品級のアイテムを揃える「KOMEHYO MUSEUM」

1月19日オープンの「KOMEHYO GINZA」

 コメ兵が1月19日にオープンした「KOMEHYO GINZA」は、数多くのラグジュアリーブランド店が立ち並ぶ、東京・銀座の「中央通り」沿いにある。銀座五丁目「みゆき通り」沿いにあった旧店舗「KOMEHYO銀座店」を移転するかたちでオープンした店舗で、約150坪の売場に約2400SKUを揃え、その合計販売価格は実に約23億円に上る。

 KOMEHYO GINZAは「好奇心の一番地。」をストアコンセプトに掲げ、リアル店舗ならではの買物体験を提供する。ヴィンテージ品から最新モデルまで、希少価値の高いブランドアイテムを手に取って見ることができるのが特徴だ。

 売場を見ていこう。店内は白とベージュを基調とした高級感のある内装で、商品を際立たせるために装飾は最小限にしている。1階では、バッグや衣料、アクセサリー、貴金属など人気ブランドのアイテムを展示・販売する。スタッフが1年かけて厳選したという数々のアイテムをケースに並べ、リユース店の気軽さを生かしてお客の「試してみたい」というニーズに応える。

「CHANEL」のチェーンバッグ
「LOUIS VUITTON」のジャケット

 2階では、「KOMEHYO MUSEUM」をコンセプトに、腕時計やジュエリー、バッグなど、KOMEHYO全店でも数年に一度しか目にかかれないという希少性の高い商品を展示・販売する。たとえば、売場の一角のバッグコーナーは、ほぼすべての商品が、希少性が高いことが知られる高級ブランド「HERMES」で揃えられている。

「KOMEHYO MUSEUM」の一部である、「HERMES」のバッグ

 「10万円を下回る価格の商品はほとんどない」(同社・営業本部マーケティング部ゼネラルアドバイザーの諏訪弘樹氏)と言うほどの華やかなラインナップの中でもとくに注目したいのが、同社が“ミュージアム品”と位置づける商品である。販売価格3000万円の「HERMES」のバッグ、同7000万円の腕時計などがその一例で、「ブランド商品というよりも美術品に近い」(諏訪氏)という美術品級のアイテムだ。

7000万円の腕時計

 こうした高額商品の取り扱いについて、コメ兵ホールディングスの石原卓児社長は「リユース店であるコメ兵では、商品を販売する前に、まずお客さまから商品を買い取らなければ商売が成り立たない。なので、商品を売ってくださるお客さまとの信頼関係を築かなければならない。そのために、ブランド品を愛するお客さまに向けて『当店ではこうした商品を扱っています』とアピールしたい」と語る。

売場面積は半分でも旧店並みの売上をめざす!

買取コーナー

 ちなみに2Fには、買取フロアもある。買取フロアと販売フロアの間はドアなどで仕切られておらず、閉塞感をなくしたオープンな空間になっている。また、タブレットを利用した「セルフ受付」を全店で初めて導入。「買い取りに対する心理的なハードルを低くする」(諏訪氏)というのがねらいだ。

 また、買取フロアには、各ブースにサイネージを配置している。諏訪氏は「買取に際してお客さまが不安感を抱くケースは多い。その不安を取り除くため、安心を訴求する目的でサイネージの動画を通じて自社の取り組みを紹介している」と説明する。

 ほかにも、店内には同社初の試みとなるタッチパネル式デジタルサイネージを各所に設置している。デジタルサイネージではKOMEHYO GINZA内のアイテムだけではなく、他店およびオンラインストアの在庫(合計約7万2000~7万3000SKU)を検索することも可能だ。1階に配置した大型サイネージでは、「コメ兵オンライン」の会員バーコードを読み込ませると、購入履歴からおすすめ商品をレコメンドするという機能も備えている。

タッチパネル式デジタルサイネージ

小型の新店出店を今後も検討

 こうしたリアルとデジタルを融合させる取り組みによって、KOMEHYO GINZAでは、旧店とほぼ同規模となる年商30億円の達成をめざす。KOMEHYO GINZAの売場面積は旧店の約半分の規模であり、売場を縮小させながらも旧店並みの売上を維持するという意欲的な目標だ。

 さらに石原氏は「売場を小さくすれば出店しやすくなる」と述べる。コメ兵は今後、KOMEHYO GINZAと同様のフォーマットの新店の出店を検討していく方針だ。「巣ごもり需要によって、ショッピングモールや百貨店への出店もしやすくなってきた。買物を楽しもうというお客さまが来店しやすいエリアに店舗を広げていきたい」(石原氏)

コメ兵ホールディングス代表取締役社長の石原卓児氏